「ラスト・ワンマイル」問題を考える
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ヤマトとアマゾン「ラスト・ワンマイル」問題の行方
「ラスト・ワンマイル」問題を考える
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
ヤマト運輸の労働組合が、2017年の春季労使交渉で「宅配便引受総量の抑制」を会社側に求めている。宅配便の激増により人手不足でパンク寸前のヤマト運輸に対して、ユーザー側からは同情の声が高い。サービスを直接ユーザーに届ける「ラスト・ワンマイル」問題について、政治学者で慶應義塾大学大学院教授・曽根泰教氏が、「クロネコヤマトの宅急便」創始者の声を交えて解説する。
時間:10分20秒
収録日:2017年3月27日
追加日:2017年5月11日
≪全文≫

●ヤマトの配送パンク状態とアマゾンの関係を考える


 「ラスト・ワンマイル」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。今、クロネコヤマトの配送がパンク寸前になっています。これをどうにかしなければいけないという雇用上の問題もありますし、配送業にばかり負担をかぶせているという問題もあります。さらに、原因の一つとなっている、大口契約者のアマゾンとの契約をどうするかという問題もあります。

 私は最晩年の小倉昌男氏(「クロネコヤマトの宅急便」創始者)と親しくしていて、小倉氏からお聞きした話をテンミニッツTVの中でもいろいろと紹介してきました。小倉氏のボランティア活動であるヤマト福祉財団のお話が中心でしたが、経営の話も若干は聞いています。小倉氏には『経営学』という大変いい本がありますので、そちらをご覧になっていただきたいと思います。


●アマゾンはなぜ「配送料無料」ビジネスができるのか?


 さて、日本のアマゾンの代表であるジャスパー・チャン氏(アマゾンジャパン代表取締役社長)と会ったときに、私は「自分だったら、アマゾンがやっていることはしませんよ」と言いました。

 どういうことかというと、当時配送センターは8カ所だったのですが、それを全国に整備するため、投資して大量の在庫を抱えなければならないという状況だったので、その上さらに「配送料無料」という無謀なことは「私はしません」と言ったわけです。その頃は、今のようなプライム会員限定ではなく、一般に配送料は無料でした。では、なぜアマゾンはそんなことができたのか。それが一つの疑問になると思います。

 それから、アマゾンは一体どんな会社なのか。多くの人は、本を売って、全国に配送して、儲けているのではないかと思っているのでしょうが、クラウド・コンピューティングの世界の図をご覧になっていただくと分かると思います。アマゾンは、クラウド・コンピューティングの代表選手なのです。グーグル以上に、世界中にサーバーを持って、クラウド・コンピューティングで稼いでいます。そこを頭に置いた上で、日本の配送システムのことをお話ししようと思います。


●これほどやっても顧客満足度の上がらない日本の要求水準


 チャン氏は、「アマゾンのアメリカでの顧客満足度は非常に高い。それに比べると、日本では一番にはならない」と言っていました。
...

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