ゴーン改革の反省とグローバル経営の教訓
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
なぜ「日産リバイバルプラン」を前倒しで達成できたのか
第2話へ進む
カルロス・ゴーン氏が来る以前の日産の最大の問題とは?
ゴーン改革の反省とグローバル経営の教訓(1)ゴーン以前
西川廣人(株式会社西川事務所代表/日産自動車株式会社 元代表執行役社長兼CEO)
 西川廣人氏は、日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者)を務め、カルロス・ゴーン氏が来る以前と以後の日産の両方を体験するという、貴重な経験を積んでこられた。「ゴーン改革」は日本企業に大きな衝撃を与えたが、いわば日本企業がグローバル経営を進めるうえでの大きな教訓でもあった。今後、日本企業がグローバルビジネスを展開していくために、何が問題で、何をしなくてはいけないのか。経営者人材を育てるために何が必要なのか。それらについて、西川氏が日産での経験で痛感した「課題と教訓」を余すところなく語る。第1回目は、変革以前のあり方と、その問題点についてである(全9話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10分57秒
収録日:2020年11月10日
追加日:2021年5月3日
≪全文≫

●輸出型経営からの転換がうまくできなかったゴーン改革以前の日産


―― 西川さんは日産自動車とルノーで長く勤められ、カルロス・ゴーン氏が入ってきて極めて短期間に日産を大変革されたときには、一緒に携わられました。日本の経営者では珍しく、グローバルな経営の仕方を、ボードメンバーとしても社長としても見ておられます。

 そのような西川さんから見て、カルロス・ゴーン氏が入ってくる前の日産、入ってきた後の躍進していく日産はどうだったのかというあたりを少しお願いします。経営者人材とは何か、どうして日本ではこれほど経営者人材が枯渇してしまったのかということを踏まえて、お話をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

西川 ありがとうございます。ご紹介いただきましたが、それほど大層な人材ではありません。ただ、今、神藏さんからご紹介いただいた通り、ある意味、非常に大きな変化や変革を経験してきました 。また、そのなかのプレーヤーの一人としてやってきて、なかなか経験できないことをいろいろくぐり抜けてきたのかという感じはします。

 私が経験したこと、あるいはそのなかで感じたことが、これからのグローバル人材の皆さんが育っていく、あるいは勉強されるなかで、何かお役に立つことがあればと思います 。そういうことで聞いていただければと思います。

 大きな流れでいうと、1980~1990年代にはドル円ベースにおける円の競争力があったため、日産だけでなく日本の企業が軒並み輸出型の企業として成長しました。ところが、その後はだんだん円とドルのレートで円が高くなっていく。かつ、自動車業界でいうと貿易摩擦等々のものもある。長い目で維持可能な事業をやっていくためには、海外投資をして、事業の海外展開が必要だろうという方向は、みなさんが訴えていたわけです。

 実際に日産自動車のなかでいうと、80年代に大きな投資をして、90年代からそれをうまく使って事業運営しなければいけなかったわけです。

 しかし、輸出型の企業経営フォーメーションに慣れていて、そのなかで育ってきた人間にとっては、いろいろな地域で事業を展開し、それをグローバルに束ねていくという仕事はあまり得意でなかった、あるいは慣れていなかった。そこで、私のいた日産は1990年代になかなか収益を出せず、むしろ赤字に陥ってしまった状態にあったわけです。

 した...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一