ゴーン改革の反省とグローバル経営の教訓
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ゴーン事件の核心とそのときの日産内部の状況とは?
ゴーン改革の反省とグローバル経営の教訓(7)ゴーン事件
経営ビジネス
西川廣人(株式会社西川事務所代表/日産自動車株式会社 元代表執行役社長兼CEO)
グローバル・リーダーには、強さとともにエンパシーが求められる。ルノーからやってきたゴーン・チームのなかでも、最後まで残った人間とは、そのような人々だった。日本人経営リーダー層のなかからも、そのような資質のある人材が育ちつつあった。しかし、そのようななかで、ゴーン事件が起きる。その前後、日産社内では多様な不安や不満が渦巻いていたのも事実である。はたして日産内部で何が起きていたのか。日産の人々の想いとは、どのようなものだったのか。(全9話中第7話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:11分48秒
収録日:2020年11月10日
追加日:2021年6月14日
≪全文≫

●「強さとエンパシーを兼ね備えたリーダー」しか残れない


西川 日本人のトップ層にも、リーダーとしての強さとエンパシーの両方を兼ね備えた人間が必要だと思います。ある状態を見れば、そういう人間が揃っている。たとえば日産ぐらいの規模でいうと、10人ぐらいそういう人がいる。その10人の予備軍がまた20人ぐらいいるという状態だと、かなり強いと思います。そういう状況をつくり出していくことが一番大事なのかと思うのです。

 そこから見ると、いわゆる日本人以外のマネージャーのなかで、エンパシーを持った人がちゃんと来てくれるかというと、これはなかなか難しい。初期のゴーン・チームとして、そう大勢ではありませんが、ルノーから人が来ました。彼らはいろいろなレベルで仕事をしていったのですが、そのなかで専門性とリーダーとしての強さに加えてエンパシーがない人たちは、なかなか最後まで日産のなかに定着しなかったです。

 逆にいうと2005年以降の後半は、そのために淘汰されていった。ルノーから来た人のなかでもピカイチのリーダーのクラス、リーダーとしての資質もあるし、かつエンパシーもある人が残った。そういう人たちがいるから安定したということです。

 そういう経緯で、日本人のなかで同様のリーダー層が出てくるのはちょっと遅れたのですが、今、それが来ていると思いますね。私たちの下の世代のボリュームはあまり多くないですが、そのなかで、社長を含めた今のリーダーの世代たちは、そういうかたちで育ってきた人間として、今引き継いでやっているわけです。それがだんだん40代、30代と若くなるにつれ、今言われたようなフォーメーションを取りやすくなっているということかと思います。


●ゴーン事件の「不正」と「マネジメントの行き詰まり」


西川 そういう状態のなかで、なぜゴーン氏自身がああいう不正を働いたか。少なくとも一部、刑事事件に発展するような不正があったことは間違いないですね。ですから、これはこれで正さなくてはいけないし、その部分に関しては会社としてガバナンスのあり方や監視システムを変えなくてはいけない。私はその通りだと思います。それはやらなくてはいけません。

 一方で、それとは違う異質な問題として、マネジメントとしての難しさや行き詰まりなどが、後半戦にはあったと思います。これは、先ほど言った前半戦のよさと後半戦の問題...

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