ゴーン改革の反省とグローバル経営の教訓
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ストレッチが過ぎてはいけないが、「1つ上の目標」を持て
ゴーン改革の反省とグローバル経営の教訓(4)目標設定の妙味
西川廣人(株式会社西川事務所代表/日産自動車株式会社 元代表執行役社長兼CEO)
改革の方向はシンプルであったが、それを回すためには優秀なリーダーが必要不可欠であった。とくに、「従来のパターンで達成できなかった目標レベルをどう設定するか」は非常に難しい問題である。さらにいえば、目標設定次第で、異なるファンクションが対立するか、協力するかも変わってくる。ここは、まさにリーダーの資質で、トライ・アンド・エラーの早回しで、勘所を養っていくしかない。そして、問題解決を短期間で繰り返していくゴーン改革は、非常に速く、かつ有効な処方箋であった。(全9話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10分28秒
収録日:2020年11月10日
追加日:2021年5月24日
≪全文≫

●従来のパターンで達成できなかった目標レベルをどう設定するか


西川 (改革の方法は)非常にシンプルに見えますけれども、これを回すためには、それなりのリーダーが、それなりの数、必要になります。

―― これはけっこう難しいですね。

西川 たとえば開発のなかでも、開発のことだけが分かっているわけではなく、開発と他の機能や地域がからんできても、きちんと仕事をマネージできる人がいなくてはいけない。皆さんがそういうことをやっているのだから、営業のほうも営業だけで動いていいわけではない。そういう司(つかさ)、司に、「お互いクロスファンクションして仕事をしていくんだ」「こういうマトリクスでやっていくんだ」と理解しているリーダーが必要です。

 そうはいっても、初期には「俺の仕事のしかたはこうだ」「俺のしかたはこうだ」ということがあります。そうした我流のところでゴタゴタしないようにするには、従来のパターンで達成できなかった目標レベルをどう設定するか。これはストレッチが過ぎてはいけないのですが、皆さんで協力しなければできないレベルにする。

 開発なら開発、生産なら生産、購買なら購買。それぞれがやっているのではなく、皆さんが協力をしなければ達成できないレベルのコスト競争力、あるいは営業と商品が一緒にならなければ作りきれない商品力などです。単一グループで行っているものに対して、もう1つ上を行く目標を持って仕事をするというのが、仕事を整斉(せいせい)と回す上で非常に大事だったのではないかという気がします。

―― 確かにそれがないと、なかなか上がらないですよね。

西川 上がりませんね。

―― クロスファンクションでの目標にしないと、上がらないですよね。


●「もめる方向」から「共同で知恵を出す方向」へ


西川 当時は、ルノーと日産で一緒に仕事をしようとし始めていました。そうするとやはりルノー流と日産流があって、「こっちがいい」「いや、こっちがいい」というのがあるのです。

―― 芸風が違いますよね、元々。

西川 ええ。それは、それぞれのいいところを取ればいいと思うのですが、結果として「より高いところ」を狙う。日産のパフォーマンスも上がるし、ルノーのパフォーマンスも上がるようなところに目標を設定すると、簡単な言い方ですが「もめている場合ではない」となってくる。要するにお互いに知...

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