2017年フランス大統領選挙と今後のフランス政治
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
マクロンは議会選挙で過半数を取れるか
2017年フランス大統領選挙と今後のフランス政治
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
2017年5月7日、フランス大統領選挙の第2回投票が行われ、無所属のエマニュエル・マクロン前経財相が次期大統領と決まった。決選投票の相手は、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首。フランス国民の選択にEUをはじめとして世界が安心した格好だが、その政権運営は盤石とは言い難い。政治学者で慶應義塾大学大学院教授の曽根泰教氏に、フランス政治の特徴とともに、今回のフランス大統領選挙について解説いただく。
時間:10分05秒
収録日:2017年5月11日
追加日:2017年5月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●「デュアル・システム」と呼ばれるフランス政治の特徴


 フランスの大統領選の結果を踏まえて、どういう票が出たかという概観に続き、フランスが抱えているこれからの課題についてお話しします。

 選挙結果の前に、フランス政治の特徴を申し上げます。選挙で過半数を取らないと議席が取れないのですが、一回の投票では過半数がほとんど取れないので、基本的に二回投票制になっています。フランスには国民議会がありますが、国民議会も投票日が二日設定されており、二回投票を行います。もう一つ、フランス政治の特徴として、今回選挙の行われた大統領の他に首相がいることが挙げられます。これら、大統領と首相がいる点から、フランス政治は「デュアル・システム(二元制)」といわれます。

 日本ではよく地方自治体が、首長と議会の二元代表制だといわれますが、あれは国際基準からいうと大統領制あるいは準大統領制なのです。ところが、フランスの場合には、国の代表者として大統領と首相がいる二元制です。学者によっては、それを「半大統領制」と呼ぶ場合もあります。


●マクロン大統領下では「コアビタシオン」が起きるか?


 両者が異なる、つまり大統領側が議会多数を取れないときもあります。大統領は、首相任命権がありますが、通常、下院選挙の結果を尊重し、下院の多数党の指導者を首相に任命するので、自党とは異なる代表を首相とすることがある。例えば、大統領が保守派、議会と首相は野党側というような場合です。それを「コアビタシオン(同棲)」といいます。過去には、フランソワ・ミッテラン大統領とジャック・シラク首相、シラク大統領とリオネル・ジョスパン首相の時にコアビタシオンが起こりましたが、今後も起こるかもしれません。

 なぜなら、エマニュエル・マクロン氏が国民議会に議席をほとんど持っていないからです。ゼロ議席です。国民戦線は2議席ですが、今回、マクロンは新党立ち上げて戦います。

 では、大統領の一回目の選挙結果を見ると、どういうことが言えるでしょうか。イデオロギー的に左から右へ並べていくと、ジャンリュック・メランション氏、ブノワ・アモン氏、マクロン氏、フランソワ・フィヨン氏、マリーヌ・ルペン氏となります。

 特徴としては、第五共和政時代の主力政党である共和党(共和国派)のフィヨン氏はかろうじて候補に残りましたが、当選しませんで...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎