常に全体の利益を考える~松下幸之助の発想にも通じる県政~
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
小さな行政体を心がける―「経営の神様」の教え
常に全体の利益を考える~松下幸之助の発想にも通じる県政~
村井嘉浩(宮城県知事)
 松下政経塾に学んだ宮城県知事・村井嘉浩氏の県政は、松下幸之助の発想にも通じるところがある。時に県民に我慢をしてもらっても、結果的にはその支持を得ている村井氏の県政に対する確固たる信念とは? 宮城県全体の底上げに注力するその情熱に迫る。
時間:5分33秒
収録日:2014年2月14日
追加日:2014年5月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●松下幸之助の発想にも通じた県政


―― 「民の力を活用する」いうのは、いつ頃から身に付けた発想なのですか。 

村井 これは松下政経塾に入ってからです。松下幸之助さんが、やはりそのようなことをずっとおっしゃっていましたので。「もっと小さな行政体、小さな政府にしなければいけない」と言われていました。
実は、今回の大震災で、宮城県には国から非常に手厚い支援をしていただいているのですが、私は借金を少しずつ減らしながら、やっているのです。
もう本当に無駄はなくして、毎年やっている通常の仕事などは、実はぐーっと少なくしていって、少しでも余裕があれば、復興に予算を回しながらやってはいるのです。お金の使い方については極めてシビアにやっています。

―― 借金を減らしながらやっている、というのはすごい話ですね。

村井 はい。少しずつですけれども。でも、そういう発想でないといけません。「復興は終わったけれど、莫大な借金で県が潰れました」ということではだめなのです。その辺りはうまく調整しながらやっています。

―― そういう意味では、松下幸之助の発想を活かした行政をやっているわけですね。


●目先のことではなく、全体の利益を考える


村井 やはり政経塾で学んだ人間として、そこはもう絶対に譲れない一線だと思っています。
例えば、この間も医療費の減免というのがありまして、国民健康保険に加入している人たちが、今回ずっと医療費が免除になっていたのです。国民健康保険というのは、7割が保険で、残り3割が自己負担です。その3割の自己負担分のうちの8割分を国がみましょう。残りの2割を自治体でみてください、という仕組みだったのです。
岩手県は、その2割の分は、県と市町村が半分ずつだったのですが、宮城県の場合は、市町村で被害が大きなところがあって、ほんの1割の少しの部分でも持つと財政がパンクしてしまうということで、実は最初、県が2割持っていたのです。
しかし、もうそれは県でも持てなくなって、昨年の3月で打ち切りました。ところが岩手県は継続したのです。でも、宮城県は打ち切った。
当然、県境をまたぐと岩手県の人は医療費が無料なのに、宮城県は3割負担でお金を取られる。これはおかしい、ということでずいぶんたたかれました。
しかし、やはり県の財政を考えると、とてもではないですがパンクするのが分かっていたの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(2)運命・世界・他者
「私をお母さんと呼ばないで」…突然訪れた逆境の意味
津崎良典
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
宗教で読み解く世界(1)キリスト教の世界
キリスト教とは?…他の一神教との違いは神様と法律の関係
橋爪大三郎
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政