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データに見るスマートウェルネス事業の成果

スマートウエルネスみつけの実現へ(5)地域活性化モデル

久住時男
見附市長
情報・テキスト
2014年(平成26年)、見附市による横断的な「地域活性化モデルケース」が提案されたが、それはその後のコンパクトシティ構想のベースとなった。ポイントはどこにあるのか。新潟県見附市市長の久住時男氏が、市が率先して進めている住宅開発やスポーツ施策などとともに解説する。(全5話中第5話)
≪全文≫

●健幸に関する条例と計画




 こちらは、歩いて暮らせる都市実現のための「健幸に関する条例」についてです。歩くことを将来的にも継続しようということで、条例もつくったということです。



 この下のスライドが、2014年(平成26年)に国の施策である地方創生が進められる以前に策定された、見附市による横断的な「地域活性化モデルケース」です。これは、先ほどお話しした人口減少少子高齢化を乗り越えるようなまちづくりについて見附市が国へ行った提案で、これにより、見附市はモデル都市として認定されました。この左下の図が、認定審査を受けた際に私が説明に使ったものです。現在では黄色部分である既存市街化区域に人が住んでいます。今後、人口が3割減る状況を考え、ここの人口を青い居住ゾーンに数十年かけて誘導をしていくことが計画されています。

 また、緑で示されている地域コミュニティゾーンとは集落です。この部分もある程度集約し、人口密度を移動させ、相互を公共交通でつなげていくことを考えています。そして、2つあるまちの中心市街地に加えて駅周辺も中心市街地として形成し、それぞれに施設を集約して、それぞれを公共交通のコミュニティバスでつなごうとしています。このように、都市全体の設計を提案したのです。

 こうした提案の中に、総合的な住み替えや地域包括ケアシステムも、この都市設計の中に組み込みました。このような地域活性化モデルケースが、その後のコンパクトシティ構想のベースになりました。


●成果は介護認定率と死亡原因のデータから現れている




 こうした都市設計を含めたスマートウエルネス施策について、市民に説明するためのデータをいくつかご紹介します。1つ目は、介護認定率が低いというものです。



 次のデータは、見附市における死亡原因です。がんなど、さまざまなものがありますが、2013年(平成25年)から減っています。その中で1つだけ増えている項目があります。それは老衰です。疾患で亡くなる人が減った代わりに、「ピンピンコロリ」になる人が多いということです。



 こうした試みと市民の皆さんの活躍が評価され、2017年(平成29年)6月にはコンパクトシティ大賞を頂き、10月にはプラチナ大賞を頂きました。大変ありがたく感じています。


●見附市による理想的な住宅の開発




 さらにご紹介したいのが、市が住宅地を開発する「ウエルネスタウンみつけ造成事業」です。これは日本で初めての取り組みです。私は、国土交通省住宅局が10年間にわたって推進する「住生活基本計画」で、唯一の地方代表として臨時委員を務め、1年間勉強しました。カナダやアメリカ、ヨーロッパと比較する中で、日本の地方は、これだけ空が広く緑が豊かなのに、住宅に全く生かされてないことに気付きました。そのため、もし見附市で私が住宅をつくるチャンスがあれば、日本の地方で最も理想的な住宅街をつくろうという気持ちがありました。

 その中で偶然、4.5ヘクタールの土地を市が買わざるを得ないという状況が生まれました。それを思い切って住宅地にする事業を始め、15年間かけ、ようやく2018年(平成30年)春に完成したところです。特徴の1つは無電柱化された街並みです。東京でも未だに、無電柱化率は7~8パーセントです。こうした状況は、世界の先進国としては恥ずかしいと思っています。私は香港に6年半いましたが、当時は街に電線が張り巡らされていました。現在はゼロで、100パーセント無電柱化されています。インドネシアやソウルでも無電柱化率は35パーセントほどで、日本は最高で8パーセントの東京、ついで大阪は5パーセントです。

 なぜ日本だけ無電柱化が進まないのかを調べると、これがオーバースペックであるからのようです。従来の電柱と、地中に埋め込むのとでは、コストが40倍ほど高くなります。そこで国土交通省を含め、無電柱化というグローバルスタンダードを日本でも広められないかということを議論しました。見附市では私が、「どんな高くても俺はここでやるよ」と宣言したので、国が急いで対応してくださり、2017年(平成29年)にモデル事業として、新しい技術基準が定められました。

 こうした低コスト手法による無電柱化事業の第1号がこの見附市で、従来よりも安く無電柱化する実験場となりました。市民にこのことをお話ししても、当初はあまり感激されなかったのですが、2番目が京都の先斗町であることをお伝えすると、途端にこの重大さに気づいてくれたようです。夜の照明も、照明設定の...
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