●社会参加ができる場所づくり
前回ご説明したさまざまな研究成果と、それに基づくプロジェクトをベースに、さらに都市の設計が考えられています。歩かざるを得ないような、あるいは歩きたくなるような都市を作るために、具体的にどのような形でスマートウエルネスシティを設計していくかについてまとめたのが、上のスライドです。
第1に、社会参加です。つまり、外出できる場づくりをするということです。家でテレビを見るより、毎日行きたいような場所が地域にどれだけあるでしょうか。これを計画してつくっていかなければなりません。
例えば、後でお話しする「ネーブルみつけ」や「みつけイングリッシュガーデン」、そして「ふるさとセンター」があります。ふるさとセンターは、12年かけて全市につくった地域コミュニティ組織の真ん中に、地域のたまり場としてつくったものです。
さらに「パティオにいがた」という道の駅を災害の跡地につくりました。ここは国道に面していないにもかかわらず、1年間で100万人が来訪しました。また、法務局が撤退して空き家になっていた建物を市民ギャラリーにしました。ここにも2017(平成29年)年度の入場者は約5万人に上りました。他にも国の支援で、商店街の近くに銭湯を作り、1年間で20万人が来るような施設になりました。このようなたまり場を計画的につくっていったのです。
もう一つ考えたのは、こうした施設の運営を、できるだけ市民の皆さんにやってもらうという仕組みです。行政が直接運営をするのはまず無理だと割り切っています。先ほどお話ししたハッピー・リタイアメント・プロジェクトは、このネーブルみつけを中心に開催してもらっています。
他方、みつけイングリッシュガーデンの維持管理は市民ボランティアグループである「ナチュラルガーデンクラブ」が行っています。ナチュラルガーデンクラブは118人の市民の皆さんで組織されています。
ナチュラルガーデンクラブはその活動が評価され、2015年(平成27年)には「みどりの愛護」功労者国土交通大臣賞を、また、2018年(平成30年)4月にはみどりの式典で天皇皇后両陛下の前で、安倍晋三総理大臣から緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰を受けました。
また、こうしたふるさとセンターができたことによって、地域の運動会が復活するという効果...