逆境の克服とリーダーの胆力
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
一財務官僚として総理と官邸に戦いを挑んだ香川俊介
逆境の克服とリーダーの胆力(7)気骨の官僚・香川俊介
神藏孝之(公益財団法人松下幸之助記念志財団 理事 /松下政経塾塾長代理/テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
日本の政府債務残高は、GDP比で240パーセントに達しようとしている。国家破綻を食い止めるため、消費増税に向けて総理と官邸に戦いを挑んだ官僚がいた。財務官僚・香川俊介氏である。生涯の友人である公益財団法人松下政経塾副理事長・イマジニア株式会社代表取締役会長兼CEOの神藏孝之氏が、彼の気骨ぶりを語る。(全8話中第7話)
時間:8分02秒
収録日:2018年1月19日
追加日:2018年7月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本に改革者が全くいなかったわけではない


 日本は現在、GDPの240パーセントもの借金を抱えてしまいました。しかし、ここまでに至る中で、日本に改革者が全くいなかったというわけではありません。私の30年来の友人に、香川俊介氏という方がいました。

 彼は2015年に、がんで亡くなってしまいました。彼が亡くなった後、彼のための追悼文集に『正義とユーモア』という題を付けて、同時代を一緒に生きた仲間や先輩方とともに制作しました。どうしても追悼文集を残しておかなければならないと感じたからです。

 彼は高校1年生の時、父親ががんにかかります。彼の父は社長候補だったのですが、水俣の工場長を任され、がんになりました。香川氏は、高校1年生から大学1年生まで、父の闘病を支えながら過ごしたわけです。

 開成高校から東大に入り、何とか母に楽をさせようと、当初は弁護士になって稼ぐつもりでいました。しかしあまりにも優秀だったため、東大法学部のゼミの先生が、国のために尽くすべきだと言って役人になるよう勧めたのです。そこで彼は大蔵省の役人になりました。

 私がちょうど松下政経塾の塾生になった1年目に、彼と出会いました。彼は大蔵省に入って3年目くらいでした。お互いに若い時代に出会ったので、それ以来、おそらく人生で最も一緒に飯を食い、飲んだ仲間になったと思います。20代、30代、40代、50代と、お互い年を重ねるにつれ、収入も増えてきますから、飲み食いする店は変わりましたが、会う回数は1年間でおよそ40~50回のまま変わりませんでした。


●税金が雲散霧消する仕組みがすでにできている


 彼の人生を見ていて、日本というのは非常に面白い国だと感じたことがあります。構想を練り、大きな絵図面を描いて、それを根回しするという仕組みがどこにあるのか、全く分からないことです。鄧小平やリー・クアンユーのような政治家がそうしたことを行っていたのか、あるいは霞が関の中でそれが行われていたのか、彼の人生を見ていても、全く分かりませんでした。

 むしろ日本の生態系は、財務省や経産省、外務省、警察、検察が横に連携して、霞が関の連合政府のような形で存在しているのかもしれません。各省に入ったキャリア組20数人のうちでも、1軍、2軍、3軍とグループが分かれ、1軍は1軍同士と付き合うことになります。このよ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎