逆境の克服とリーダーの胆力
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本の財政は、敗戦のときよりも悪化している
逆境の克服とリーダーの胆力(3)中国の台頭と財政危機
神藏孝之(公益財団法人松下幸之助記念志財団 理事 /松下政経塾塾長代理/テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
日本を取り巻く困難な状況は2つあると、公益財団法人松下政経塾副理事長・イマジニア株式会社代表取締役会長兼CEOの神藏孝之氏は指摘する。まずは中国が日本のGDPの約3倍という超大国になりつつあるということだ。朝鮮半島の混乱がそこに加わって、厳しい国際環境が生じている。他方、日本国内でも財政赤字が深刻化している。(全8話中第3話)
時間:8分01秒
収録日:2018年1月19日
追加日:2018年6月12日
≪全文≫

●中国は現在、中華の夢を呼び戻そうとしている


 さらに厄介なことは、中国はもともと超大国だったということです。私たちは文化大革命(文革)の後の荒廃していた時代を見てきているので、GDPのサイズとしては小さいというイメージがありました。

 しかし、もともと漢の時代も唐の時代も、また宋の時代も明の時代も清の時代も、中国は超大国です。産業革命以前の中国のGDPは、圧倒的に大きかったのです。産業革命が起こる前は、経済の重要な指標は農業生産性です。したがって、中国とインドという人口の多い国が圧倒的に強くなります。

 中国は現在、1840年のアヘン戦争以来失われてしまった「中華の夢」を呼び戻そうとして、元に戻っている、と考えた方がいいでしょう。毛沢東が30年間支配し、その後、鄧小平以来30年間、経済一本やりできました。そして習近平が再び、新しい皇帝として30年間続く体制を作ろうとしているのです。


●日本の約3倍のGDPを持った強国ができ始めてしまった


 それによって日本にとっての緊張感が非常に高まっています。朝鮮半島でも、韓国の文在寅首相は何をするのかよく分かりません。「韓国の鳩山由紀夫」ともいわれています。そこに北朝鮮の核ミサイル問題が加わります。

 このように朝鮮半島が動揺し、中国が台頭する時期は、日本人が一番精神的に不安定になりやすい時期です。元寇では、いくつかの偶然も作用しましたが、北条時宗が知謀戦略を立てて元を追い返すことができました。しかし、戦前は満州事変で深みにはまり、大敗退を喫します。

 今、私たちが置かれているのは、日本の約3倍のGDPを持った強国ができ始めてしまったという状況です。少なくとも2年前のデータを見ると、アメリカ海軍の第7艦隊が日本近海にとどまり、それを航空自衛隊の飛行機が支援するという形であれば、日米がかろうじて戦力として上回っていました。しかし今や、第7艦隊がいようがいまいが、中国に対しては軍事的に太刀打ちできません。

 これが私たちの取り巻かれている状況を考える際に、見ておくべき2つ目の状況です。中国が超大国に戻りつつあるということ、そして習近平という新しい皇帝が誕生したということです。


●日本の財政は、敗戦時よりも悪化している


 3番目に考えるべきことは、日本の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
医療から考える国家安全保障上の脅威(1)「非対称兵器」という新たな脅威
フェンタニルの麻薬中毒も意図的な戦略?非対称兵器の脅威
山口芳裕
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治