●中国は現在、中華の夢を呼び戻そうとしている
さらに厄介なことは、中国はもともと超大国だったということです。私たちは文化大革命(文革)の後の荒廃していた時代を見てきているので、GDPのサイズとしては小さいというイメージがありました。
しかし、もともと漢の時代も唐の時代も、また宋の時代も明の時代も清の時代も、中国は超大国です。産業革命以前の中国のGDPは、圧倒的に大きかったのです。産業革命が起こる前は、経済の重要な指標は農業生産性です。したがって、中国とインドという人口の多い国が圧倒的に強くなります。
中国は現在、1840年のアヘン戦争以来失われてしまった「中華の夢」を呼び戻そうとして、元に戻っている、と考えた方がいいでしょう。毛沢東が30年間支配し、その後、鄧小平以来30年間、経済一本やりできました。そして習近平が再び、新しい皇帝として30年間続く体制を作ろうとしているのです。
●日本の約3倍のGDPを持った強国ができ始めてしまった
それによって日本にとっての緊張感が非常に高まっています。朝鮮半島でも、韓国の文在寅首相は何をするのかよく分かりません。「韓国の鳩山由紀夫」ともいわれています。そこに北朝鮮の核ミサイル問題が加わります。
このように朝鮮半島が動揺し、中国が台頭する時期は、日本人が一番精神的に不安定になりやすい時期です。元寇では、いくつかの偶然も作用しましたが、北条時宗が知謀戦略を立てて元を追い返すことができました。しかし、戦前は満州事変で深みにはまり、大敗退を喫します。
今、私たちが置かれているのは、日本の約3倍のGDPを持った強国ができ始めてしまったという状況です。少なくとも2年前のデータを見ると、アメリカ海軍の第7艦隊が日本近海にとどまり、それを航空自衛隊の飛行機が支援するという形であれば、日米がかろうじて戦力として上回っていました。しかし今や、第7艦隊がいようがいまいが、中国に対しては軍事的に太刀打ちできません。
これが私たちの取り巻かれている状況を考える際に、見ておくべき2つ目の状況です。中国が超大国に戻りつつあるということ、そして習近平という新しい皇帝が誕生したということです。
●日本の財政は、敗戦時よりも悪化している
3番目に考えるべきことは、日本の...