逆境の克服とリーダーの胆力
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
松下幸之助の人生で最も重要な敗戦からの5年間
逆境の克服とリーダーの胆力(4)松下幸之助の怒り
神藏孝之(公益財団法人松下幸之助記念志財団 理事 /松下政経塾塾長代理/テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
「君らは辛酸をなめていない、猫に小判だ」。これは85才の松下幸之助が、松下政経塾1期生に投げ掛けた言葉である。政経塾の塾生だった公益財団法人松下政経塾副理事長・イマジニア株式会社代表取締役会長兼CEOの神藏孝之氏が、松下の原点について解説する。戦後に味わった苦境の時代が、哲学者・思想家である松下幸之助をつくった。(全8話中第4話)
時間:7分47秒
収録日:2018年1月19日
追加日:2018年6月19日
≪全文≫

●時代が人物を生み出す


 現在日本は、朝鮮半島が不安定になり、中国が猛烈に台頭しつつあるという状況に置かれています。中国は清の時代、第6代皇帝の乾隆帝が清王朝一番のピーク時で、第4代の康熙帝から世界帝国になっていきます。現在の中国の状況を例えるなら、康熙帝を超えて、まだ乾隆帝までには達していないというイメージになるでしょうか。しばしば、「時代が人物を生み出す。時代の苦難に耐えた人間が大成する」といわれます。現代はまさにそうした時期に差し掛かっているのです。


●君らは辛酸をなめていない、猫に小判だ


 ここで、松下幸之助が松下政経塾をつくって1年目の終わりに、1期生の塾生を前にして語った言葉を紹介したいと思います。

 「君らは辛酸をなめていない。つまり君らは心眼が開けていないのだ。経営というものについて、心眼が開けていない。だから分からないのだ。人の育て方や人の使い方、お得意先に対しての仕事の仕方、そんなものは全部、政経塾が持っている。猫に小判という言葉があるだろ。猫に小判だったらいけないが、君らはその猫に小判の方だ」

 政経塾の1期生の中には、「社会保障・税の一体改革」を推進しようとした野田佳彦前総理大臣もいました。彼ら二十数人が1年間の研修を終えたところで、松下が成果を聞き、そこで上の発言が出てきたのです。「お前たちに1年間、寮を与えて、生活の面倒を見て、勉強させたけれども、猫に小判だった」というのです。85歳という老翁が20代の若者に対して、「猫に小判だ」という、ここに真剣さが現れています。


●終戦後、理不尽な目に遭ったことが松下の原点


 彼がどうしてこれほど真剣であったのかは、松下幸之助という人物がどこから始まっているのかを考えると理解できます。松下の歴史の中には3回転換点がありますが、最も重要なのは敗戦からの5年間でした。松下電器は財閥に指定され、財産を差し押さえられました。戦前、自分が進んでやったわけではないのに飛行機や船を造らされ、しかもその金を全く払ってもらえませんでした。しかもこの時、公職追放処分を受けましたから、仕事をしてはいけません。散々な目に遭ったのです。

 彼の政治に対する怒りは、まさに公の怒りです。1945年、50歳の松下は松下電器でその歳まで一生懸命働いて...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
億万長者への道(1)お米屋さんから不動産業界へ
「背広を着てビジネスがしたい」との思いから宅建取得
高橋誠一
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(5)生成AIの活用イメージ
Copilotの提供方法を紹介~一般向けから業務特化型まで
渡辺宣彦