松下幸之助と人間大事の経営
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
松下幸之助と船場商人はどこに違いがあるのか
松下幸之助と人間大事の経営(5)行即道場と日本流経営
松下幸之助は少年時代に大阪の船場に丁稚奉公に出ているが、松下幸之助と船場商人はどこが違うのか。幸之助の面白いところは、「私」が基本的な考え方である船場で学びながら、「公」という考え方を自分の中に持ち込んだことだ。そうして日本流経営の真髄に目覚めた幸之助には、仕事は単なる金儲けではなく、自分を高める場所という「行即道場」の考え方があった。(全7話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:13分30秒
収録日:2019年8月20日
追加日:2020年7月26日
≪全文≫

●船場商人と松下幸之助はどこが違うのか


── 松下幸之助は丁稚に出され、丁稚奉公の間に両親に死なれ、葬式にいけたかどうかもよく分からないような境遇で育ってきて、兄弟も多くが死んでしまっているし、非常に苦労されていますよね。苦労している人は基本的には自分の力に恃(たの)むところが多く、「自分でやってきた」という思いが強いため、人を育てるのが非常に下手な人が多い。ところが、松下幸之助はそれとは正反対なので、とても不思議に思います。

江口 幸之助は大阪の船場で修行しています。船場商人と松下幸之助はどこが違うのかと言ったら、船場の主や船場で丁稚を経験した人たちの考え方の基本は、「私」なのです。幸之助の面白いところは、「自分の店が大きくなって、自分の店の給料が上がればいい」という船場で学びながら、「公」という考え方を自分の中に持ち込んだことで、これはすごいことだと思います。

── 「私」しか考えていないような船場という環境の中で、「パブリック(公)」に気づくわけですね。この落差は、普通の人では考えられないですよね。

江口 ここのところは、幸之助の発想の面白さだと思います。なぜ、船場の「私」から「公」という発想が出てきたか。それは、昭和7年に天理教に行って、「産業人たるものの使命」というところから、「公」に目覚めたのではないか。船場の商売のやり方をベースに、天理教に行って知った「産業人の使命」が結びついて、「公」というところを考えついたのではないかと思います。


●日本的経営の流れを受け継いだ松下幸之助


── 天理教で給金ももらわず、むしろ自分でお布施を持ってきて、汗水たらして一生懸命働く信者の姿を見たときに気づいたのでしょうか。

江口 いわゆる「無私の奉仕」ですよね。公に尽くすときには損得を抜きにして、自分自身を成長させるために一生懸命仕事をしたり働いたりするのだということを悟ったのではないかと思います。その時、松下幸之助は、日本的経営の一つの流れに沿うような経営を展開するようになるわけです。例えば江戸時代初期の鈴木正三の「何の事業も皆仏行なり(仕事というのは信仰なのだ)」などの流れです。

── 仕事と信仰は、修行すれば同じだと言うのですね。

江口 仕事とは、金儲けではなく信仰なのだ、と彼は言っています。石田梅岩になると、仕事というのは「諸行即修行」に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
世界哲学のすすめ(1)世界哲学プロジェクト
日本発!危機の時代に始動する世界哲学プロジェクトの意義
納富信留
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦