●2015年、アメリカはキューバと国交を回復した
今日は、「キューバの今」というテーマでお話させていただきます。2015年7月、アメリカとキューバは国交を回復しました。翌年の3月には、バラク・オバマ大統領がハバナを訪ねて、フィデロ・カストロ氏の弟である、ラウル・カストロ国家評議会議長に会いました。それから程なくこれまで50年以上続けてきた経済制裁への解除が始まりました。これで名実ともに国交回復ということになったわけです。
このニュースが世界中を駆け巡ったわけですが、日本人にとっては、キューバは地球上最後の楽園という印象ですね。地球上最後のフロンティアといわれたのはミャンマーですが、キューバに対しては、ある種のノスタルジアがあります。例えば、最高級葉巻はハバナの代名詞です。あるいは、海賊が飲んでいたというラム酒も、最高級のものはキューバ産です。歌と踊りも有名です。
ある時、キューバでは博物館行きの車が1950年代の車で、それがまだ走っているということを聞き、私たちはキューバに行ってみたいと思いました。そこで私たちの仲間である若い経営者が集まり「是非いこう」ということになり、キューバへ旅行することになったのです。
●キューバに到着するなり、非常に幻滅してしまった
キューバでの旅行をアレンジするのは、かなり大変でした。航空便もホテルもなかなか取れないのです。やはり国交回復の影響でしょうか、キューバに訪問客が殺到していたのです。何とか航空券とホテルを確保して、十数人で出掛けました。ビジネスクラスで、往復80万円ほどかかりました。
空港へ降り立ってからもトラブルがありました。十数人の仲間の若い経営者の1人が、突然税関で止められてしまったのです。どうしてなのか分からないでいると、係官が「Wi-Fiを持っているだろう?」と聞いてきます。最近は、誰でもWi-Fiを持っています。キューバ人はWi-Fiを知らないのかと思って調べてみると、キューバにもあちこちにあります。しかし、なぜかこの係官は、私の仲間がWi-Fiを使ってスパイかなにかをしていたのではないか、と疑っているのです。私も付き添っていましたが、係官とのやり取りには1時間半もかかってしまいました。上司を呼ぶなどと言って、こちらの言うことを信用しません。
夜中に到着したものですから、私は疲れ果ててしまって、「一体この国は何なんだ」...