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元ペトロブラス社長が憂慮する日伯相互理解の欠如

ブラジルと日本の問題点~ブラジル2世・植木茂彬氏からの進言~

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
植木茂彬氏と
Shimada Talks
「このままでは本当の先進国になるはずがない」と、ブラジルの現状を憂慮するブラジル2世の植木茂彬氏。軍政時代、エネルギー大臣を務め、深海5000メートルの採掘事業を進めるペトロブラスの社長でもあった植木氏に、ブラジル経済、日系企業、そして日本の問題点について、島田晴雄氏が聞いた。
時間:04:38
収録日:2014/04/10
追加日:2014/06/19
≪全文≫

●ブラジルの経済体質は全然変わっていない


 次のテーマは、私どもがお会いをした植木茂彬さんという方です。この方はブラジルの2世ですが、大変な勉強をされ、若くして弁護士になられました。それから軍政府に迎えられてエネルギー大臣になり、その後カルドーゾ大統領のもとでペトロブラスの役員からやがて社長になりました。社長を6年間されたのですが、その間に、深海5000メートルの採掘を成功させる、確実な目処がつくところまでもっていかれたそうで、大変な実力者ですね。弁護士であり、投資家であり、政治家でもあるという方で、ほとんどスーパーマンですが、ご本人自体は大変物静かな方ですが、私どもの会食では、堰を切ったようにいろいろなお話をされたのです。

 例えば、今のブラジルは、どんどんレーティングが下がっているそうです。ブラジルというのは、経済体質を変えようと思っても全然変わってこなかった。つまり、市況商品であるコモディティを売って完成品を買うという繰り返しで、これではいつまでたっても本当の先進国になるはずがないと、そうおっしゃっていました。


●日系企業はトップがすぐ変わってしまうから、ブラジルを理解できるはずがない


 それから、やはり日系人ですから、日本のことを心配なさっていて、日本の人はどこかずれていると感じているそうです。

 例えば、ブラジルにはたくさんの日系企業があります。その企業の方々の投資行動をみると、ほとんどタイミングを外していて、今になって土地を買うという人がいるから、もう信じられないそうです。今そんなことしたら、全部失敗するのは分かっているではないかと、 植木さんにはよく分かるのでしょう。日本企業がブラジルにたくさん来ているけれども、ブラジルではほとんど儲かっていないはずだし、全く得をしていないはずだ、と。なぜなら、日系企業の方々はブラジルを本当に理解していないからです。しかも、企業はトップがすぐ変わってしまうから、ブラジルを理解できるはずがないと、おっしゃっています。


●日本人は日本人としか付き合わないから、ブラジルの本当の姿が分からない


 もっと問題なのは、日系人しか入れないゴルフ場というものを作ってしまっていることです。要するに、ブラジル人と一緒にゴルフをしないのです。それから、日本ブラジル商工会議所という大きな団体があります。そこで私も講演...
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