ブラジルの繁栄と転落
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
クビチェック大統領が築いた「ブラジリア」は人類史的偉業
ブラジルの繁栄と転落(1)ブラジリアと軍政時代
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
BRICsのトップと言われたブラジルが低迷段階に入ったと言われている。しかし、ブラジルには復元力があると語る島田晴雄氏。繁栄と転落の歴史の中で、ブラジル経済がいかに復活を遂げていったのか。シリーズ前編となる今回は、世界的な大首都であるブラジリアの建設、そして軍政時代をたどる。
時間:14分42秒
収録日:2014年4月10日
追加日:2014年6月12日
≪全文≫

●BRICsのトップと言われたブラジルが低迷段階に入った


 最近ブラジル経済は、私どもの期待や希望とはだいぶかけ離れてきました。2012年には、たった1パーセントの経済成長しかできなかったのです。2013年に少し良くなって2.3パーセントを記録しました。しかし2014年、政府は2パーセントの成長を実現すると言っていますが、民間はそのようには信じていません。1パーセント台でどこまでいけるかということで、明らかに低迷段階に入ったのです。

 BRICsと言われた国が目覚ましい発展を遂げたのは数年前までで、この2、3年は、ロシアもインドも中国ですら、だいぶ味噌をつけているというのが世界の一般の評価です。その理由の一つには、最近の世界的な影響で言えば、アメリカがじゃぶじゃぶに行ってきた金融緩和を縮小したことです。これをテーパリングと言っていますが、そうなると途上国への投資が鈍ることもあるわけです。

 ただ、ブラジル経済には、低迷せざるを得ない、いくつかの特別な理由があって、一つは、貯蓄率がひどく低いことです。よって、資本形成をしようとすると、海外からの投資家に依存しなくてはなりません。つまり、海外からの大規模な直接投資が必要なのです。確かにブラジルは、BRICsのトップを走ると言われた輝かしい頃にどんどんと投資が増えました。それが最近、急速に細くなっていて、アメリカの金融緩和の縮小も背景にあると思います。

 もう一つは、今の政権にあります。ブラジルでは、女性として初めての大統領となるジルマ・ルセフ氏が政権を担っており、大統領就任から3年半になりますが、当初は大きな構造改革をして、ブラジル経済に弾みをつけ、どっと持っていってくれるのではないかと、非常に大きな期待があったのです。

 ところが、実際に政権が始まってみると、ほとんど進展がありません。ブラジルにはいくつかの大きな構造問題があり、例えば、後程詳しく申し上げますが、ブラジルコストと言われる、経済的、社会的、構造的なコストがあります。これも大変な問題ですし、それから、ブラジルは犯罪が非常に多くて、特に外国の人がターゲットにされます。そういうものの改善をしてくれないだろうかという期待感もあったのですが、ほとんど進んでいません。

 ルセフ大統領は、もともと筋金入りの社会主義者、社会運動家で、貧乏な方々には大...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
おもしろき『法華経』の世界(9)「如来寿量品」と三身論
仏の寿命は無量で久遠に実在する…「如来寿量品」の神秘
鎌田東二
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
「アカデメイア」から考える学びの意義(4)学びの3つのキーワード
より良い人生への学び…開かれた知、批判の精神、学ぶ主体
納富信留
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一