●FEDは量的緩和縮小、金利引き上げ、新規借り入れ停止へ
本日は、最近欧米の中央銀行が金融政策を正常化するという機運が高まってきましたので、その周辺のお話を整理して、どういう論点があるかということを中心にお話ししてみたいと思います。「将来は必ずこうなる」ということは誰にも分かりませんので、それを考える際のヒントになるような論点をいくつかお話ししてみたいと思います。
最初にこちらが、アメリカの中央銀行FED(Federal Reserve System)とユーロ圏の中央銀行ECB(European Central Bank)の金融政策の最近の動きを、金利といわゆる量的緩和、資産買い入れの部分についてまとめてみたものです。
特にFEDについて、まず簡単に説明しますと、長らくゼロから0.25パーセントという金利を続けてきたのですが、一昨年(2015年)の暮れに0.5パーセントへ、一度0.25パーセントの引き上げを行いました。その後さらに、昨年(2016年)の12月にまた2回目の引き上げを行い、そして今年(2017年)に入ってさらに2回引き上げを行い、都合4回金利を引き上げています。また、1回目の金利引き上げに先立つこと2年ほど前の2013年の途中から量的緩和を縮小するという方針を打ち出し、新規の借入額を減らした後、新規の借り入れをストップしました。
現在、話題になっている論点は、新規の借り入れはもうしていないのですが、持っている国債とモーゲージ・バックト・セキュリティーズ(Mortgage backed securities、モーゲージ証券)、これらの残高を減らしていくという意思決定を今年の9月にするのではないかということで、そのことが市場でうわさされているのです。
●FEDとECBともに、金融政策正常化、引き締めへ
同じようにECBについて見てみますと、金利が下がってきて、まだしばらく上がる気配はないのですが、FEDと同じように債権その他の資産を買うというプログラムにおいて、新規の購入を減らしていくという、ちょうどFEDが2013年から始めたような政策の正常化を今年の9月にアナウンスするのではないかと言われています。
ですから、両方の中央銀行が非常に大まかには正常化、あるいは若干引き締めの方向、いわゆる出口の方向に向かうという機運が高まりつつあります。FEDの場合は既にそういう方向にはっきりと向かいつつあるのですが、これが市場や経済にどういう影響を与えるかということに、...