敗戦から学ぶ戦前のリーダーシップ
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
明治の元勲は責任を持って任せたけれど逸脱はさせなかった
敗戦から学ぶ戦前のリーダーシップ(1)明治の指導者
齋藤健(衆議院議員  第30代経済産業大臣)
時代とともに世の中が複雑になり、戦争に影響を与えることになったリーダーリップの変質。敗戦から何を学ぶべきか。明治から昭和の時代を駆け抜けた先人たちの話を紹介しながら、明治の指導者、エリートについて齋藤健氏が語っていく。(前編)
時間:10分28秒
収録日:2014年2月18日
追加日:2014年6月12日
≪全文≫

●アメリカのエリート教育と日本教育の変質


齋藤 アメリカのエリート教育というのは、すさまじいものがあります。「エリートは必要だ」という前提でやりますから。

―― すると、途中でつまずいた人が悪いわけですね。

齋藤 ジョン・F・ケネディ政権の時は、〝The Best and Brightest〟と言って、エリート教育が当然必要だという前提で、社会が成り立っています。日本もそこまでやれと言わないですが、指導者をどうやって育てるか、その意識はもう少し持たないといけないし、やはり過去の経験から、日本人のリーダーが腹の底に据えておかなくてはいけないことがあるわけです。それは、私はメッケル氏の言葉だと思います。「もっと緻密に冷静に分析しなければいけないのに、何でも容易に物事が運ぶと過信したり、希望的観測でものを言う傾向が、日本のエリートにはある」と彼は言っていますから、日本のリーダーのことをよく見抜いています。

―― その通りだと。

齋藤 だから、中国は一撃でおとなしくなるとか、アメリカとイギリスの間は当然離間できるとか、ロシアはやってこないとか、全部希望的観測です。その前提で作戦を立てますから。

―― そういう意味で、陸大とか、海軍大学とか、天下の秀才を集めたのに、たいした教育、たいした授業をやっていなかったというのは、結果だけ見れば、そういうことですよね。

齋藤 ただ、私は思うのですが、陸大には優秀な人が数多くいたはずです。農家の次男とか、食っていけないけれど頭がいい子の中には、幼年学校から入って、最後は陸軍大学校を出るという子が結構いましたから、優秀な人は集まっていたと思います。

問題は、優秀な人が集まっていたにも関わらず、なぜああいう大きな流れに巻き込まれたのだろうか、ということです。優秀な人がいなかったら、諦めもつきますが、陸大にはいましたし、多分海軍にも相当優秀な人がいたと思います。そこは、やはり視野が狭い教育になったということと、司馬遼太郎のいう「道徳的緊張」、明治の武士道のようなものがあったと思うのですが、それが何か変質していた、ということです。なかなか一言でこれだとは言えないのですが。

ですから、陸大のいろいろな教育を見てきた人とか、海軍の及川古志郎さんのように海軍大学校校長までされた人が、「広い視野を持って、その中の一つとして軍事を考え...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
「進化」への誤解…本当は何か?(7)進歩思想としての進化論と社会進化論
適者生存ではない…進化論とスペンサーの社会進化論は別物
長谷川眞理子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
健診結果から考える健康管理・新5カ条(4)血圧を甘く見てはいけない
血圧を甘く見てはいけない…血圧が血管を傷つける仕組み
野口緑
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純