ビッグデータの価値とリスク~FB問題と電子マネー~
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
情報社会におけるビッグデータの価値と危険性
ビッグデータの価値とリスク~FB問題と電子マネー~
伊藤元重(東京大学名誉教授)
東京大学名誉教授で学習院大学国際社会科学部教授の伊藤元重氏が、フェイスブック(FB)の問題からビッグデータに付随する価値とリスクについて論じる。情報社会でも、貨幣の世界においても、今後、個人の情報がどのように利用されていくのかは大きな関心事であり、われわれは利便性とリスクの両面を視野にいれていかなければならないのだ。
時間:13分49秒
収録日:2018年5月7日
追加日:2018年6月21日
≪全文≫

●情報の価値が上がるほどリスクも高まる


 今日は、いわゆる情報革命の中でのデータの価値とそれが持っているリスクについて話をしたいと思います。

 アメリカのフェイスブック(FB)やグーグル、アマゾン、ツイッターといったビジネスモデルを見れば分かるように、膨大な人がネットワークにつながって情報のやりとりをすることによって、データの価値が非常に高くなっているというのは明らかだろうと思います。フェイスブックだけでも3兆円規模の広告ビジネスにつながっているというような報道もされています。残念ながら日本の企業や産業は、こうしたところにどんどん水をあけられています。

 これをどうしたらいいかというのは、もちろん考えなければいけない非常に難しい問題なのですが、ただ、そうした中でもう一つ話題になっているのは、このようなネットワークが広がってくることによって、情報の価値が上がれば上がるほど、情報が持っているリスクや情報に関する社会問題というものが耳目を集めているということです。今回のフェイスブックの一連の騒ぎというのは、まさにそれを象徴したようなものだと思います。


●影響力と社会的責任の大きさを示したフェイスブック問題


 私は詳しい経緯まで理解しきれていないのかもしれませんが、フェイスブックの場を使ってある種のゲームのようなことを展開した大学の先生がいて、皆、喜んでそのゲームに参加したため、大変な数の人の情報が集まってきたわけです。報道によると、この先生がその情報データを(ケンブリッジ・アナリティカという会社に売ったのか提供したのかは分かりませんが)渡して、それがあまり好ましくないような活動に使われたということです。具体的には、アメリカの大統領選挙、あるいはイギリスのブレグジットの国民投票といったところに使われて、結果的にはその結果に対して影響を及ぼしたということです。このようなことがあったりして、フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ氏がアメリカ議会に呼ばれたのは、報道された通りです。

 この問題の本質がどこにあるのかというのは、なかなか難しいところなのですが、いくつかポイントがあって、一つはそれだけの影響力がフェイスブックにはある、ということです。そして、影響力が大きくなればなるほど、社会的責任とその影響も大きくなるということだろうと思います。


●小さ...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
「発想力」の技法を学ぶ(1)発見と探究(前編)
“なぜ”を繰り返せ!『発想力の全技法』に学ぶ原因探究法
三谷宏治
営業から考える企業戦略(1)成功するブランド戦略とは?
ブランド力を高めるために「自社の強み」を徹底的に聞け
田村潤

人気の講義ランキングTOP10
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(4)消された歴史を掘り起こす
根本博の功績は台湾では消されていた…取材でいかに正史を変えたか
門田隆将
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
編集部ラジオ2026(26)お盆とあの世を考える
【10min解説】特集で考える《お盆とあの世》の本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
資本主義の再定義…哲学で考える(4)共感としての見えざる手
利とは、義の和である…なぜ道徳的なふるまいが企業活動に重要か
中島隆博
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(7)AIと長寿化&質疑応答
AI時代にこそ「熟達者の経験」が生きる&現状の日本経済の実情は
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
戦前派一日本人の憂鬱~太平洋戦争と敗戦後を顧みて…(1)
『きけわだつみのこえ』を読むと今でも涙が止まらない
野田一夫
地政学入門 歴史と理論編(7)戦争を起こさないための地政学
トゥキディデスの罠の教訓…大事なのは戦争回避の4ケース
小原雅博