『三国志』から見た卑弥呼
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
『魏志倭人伝』には陳寿の理念と事実が混在する
『三国志』から見た卑弥呼(2)陳寿の執筆意図
渡邉義浩(早稲田大学常任理事・文学学術院教授)
『魏志倭人伝』は『三国志』の中で倭国(邪馬台国)がどの異民族よりも圧倒的な存在感を持っていたことを表すものだが、早稲田大学文学学術院教授の渡邉義浩氏はさまざまな角度から著者・陳寿の執筆意図について論じる。注目すべきは圧倒的強さを持った魏が水軍を持たず、呉との海上戦で苦戦していた点だ。海を渡ってやってきた倭国は魏、その後の西晋にとって特別な意味を持つこととなる。(全3話中第2話)
時間:9分06秒
収録日:2018年3月15日
追加日:2018年8月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●頻繁な使者派遣から分かる倭国と曹魏の堅密性


 倭国と曹魏(魏)は非常に密接な関係を持っています。先ほども申し上げましたが、『史記』から『明史』までの中で日本に関する列伝が含まれるものは14あり、また、異民族の中で日本に関する記録が一番多いのは『三国志』だけなのです。さらに、私は景初3年説を採るのですが、景初3(西暦239)年から正始8(西暦247)年までの9年間に倭国から曹魏に使者を派遣したのが4回、曹魏から倭国に使者が派遣されているのが2回ということになります。

 日本と中国の親しい関係というと、遣唐使のイメージが湧くのですが、実は遣唐使は約18年に1回しか行っていません。その遣唐使に対して、倭国から曹魏には4回行っています。また、遣唐使のお礼に日本まで使者が来るというようなことはそんなにはありませんでした。それに対して、倭国には使者が来ているわけです。

 そういうことを見ていくと、はるかに緊密性が高いのです。魏にとって非常に重要な国として倭国が認識されていた、ということが分かってくると思います。


●魏に対抗するため海戦に活路を求めた呉


 では、なぜ倭国が重要だったのか。それは、先ほどお話ししたように、司馬懿(しばい)が呼んできた国ということが一つ挙げられます。そして、もう一つは地理的な条件です。

 三国時代に魏、呉、蜀が戦った中で一番有名なのは、赤壁の戦いです。圧倒的に強かった魏が呉に負けるわけですが、なぜ負けたのか。単純にいうと、船の戦いであったから負けたのです。曹操の戦いの手段は騎兵を主力とした平地戦で、北の方(魏のあたり)で戦う戦い方なのです。海での戦い方は極めて苦手だったのです。逆にいうと、呉としては海で戦うことによってのみ活路があるということです。したがって、呉(孫呉)は何をしているかというと、南の方にある交州、今のベトナムの中部と考えていただいていいと思いますが、そこまで支配下に置きました。さらには扶南という国(具体的には今のカンボジアのイメージ)、そして林邑(今の南ベトナム)、そして、堂明(今のラオス)、このあたりを支配下に置きました。これら当時のベトナム、ラオス、カンボジアにあたる国々は呉に対して貢物を持っていっています。つまり、まず南に対して朝貢関係を持ったということです。

 そして、東に関しても最も重要だということで、一生懸命に探索...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(1)決断と信念のユダヤ人救出
毅然として人道を貫き、命を救う…樋口季一郎のユダヤ人救出
門田隆将
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介

人気の講義ランキングTOP10
老子の神髄(7)『老子道徳経』「去用第四十」
緊張や怒りをコントロールするには?老子に学ぶ精神と肉体の関係
田口佳史
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(3)全皇帝の4分の3は「非漢族」
6000万人の漢人が、三国志の戦乱後に400万人台に…衝撃の人口変動
宮脇淳子
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
中国春秋戦国時代と始皇帝(3)戦国時代初期――戦国七雄と合従連衡
戦国七雄とは?合従連衡とは?…各国の勢力拡大と小国家の運命
鶴間和幸