デカルトの存在論に学ぶ
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
津崎良典(筑波大学人文社会系 教授)
哲学者デカルトの最も有名なフレーズ「我思う、ゆえに我在り」。しかし、津崎良典氏によれば、これがデカルトの専売特許であるというのは正しくないという。それはどういうことか。デカルトはいったい一体何を語ろうとしていたのか。(全3話中第1話)
時間:12分59秒
収録日:2018年9月27日
追加日:2019年3月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない


 高校で実際に使われている倫理の教科書を何冊かおもちしました。東京書籍の『倫理』、第一学習社の『倫理』、山川出版社の『現代の倫理』、清水書院の『新倫理』、同じく清水書院の『現代倫理』です。他にも、多くの高校で倫理の授業に使われている教科書がありますが、こうした教科書全てに、デカルトと言えば、こう書いてあるわけです。

 「我思う、ゆえに我在り」

 これは「彼の専売特許でしょう」と言わんばかりに、倫理の教科書でデカルトについて紹介をしているのです。

 これは或る意味、間違いではありません。もちろんデカルトと言えば、「我思う、ゆえに我在り」です。「私は考えているから、私は存在するのだ」ということを明確に宣言した哲学者として記憶に残っていますし、そのことに間違いはないのですが、専売特許というのは少し不正確な理解です。もちろん教科書がそう言っているわけではなく、私がこれらの教科書を読みながらそういう印象を抱いたわけです。いずれにしても、もし「我思う、ゆえに我在り」をデカルトの専売特許と捉えている方がいたとしたら、是非今回のレクチャーを聴いて、デカルトについて理解を深めていただきたいと思います。

 なぜならば、同じようなことを実は、4世紀から5世紀にかけて活躍した初期キリスト教会のラテン教父が言っているからです。ラテン教父とは、ラテン語で著作活動を行っていた教父です。教父にはギリシャ教父とラテン教父がいて、ギリシャ教父はギリシャ語で主に著作活動をしていた人です。ここで取り上げたいラテン教父は、4世紀から5世紀にかけて活躍した初期キリスト教会のアウグスティヌスという人で、彼がデカルトと同じようなことを言っているのです。

 実際デカルトも、同時代の哲学者も、そのことに気付いていました。「デカルトさん、あなた、そんなことを仰っているけれど、それは本当に自分のオリジナルだと思っているの? アウグスティヌスがすでにもう言っていますよ」と言われて、デカルトも渋々それを認めているというのが実際のところです。


●デカルトの懐疑は「方法的懐疑」と呼ばれる


 では一体、この「我思う、ゆえに我在り」に相当する表現はどこに出てくるかというと、デカルトが最初に公刊した『方法序説』...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
福田恆存とオルテガ、ロレンス~現代と幸福(1)曖昧になった日本人の「自然」
小林秀雄から福田和也まで、日本の文芸批評史を俯瞰する
浜崎洋介
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(15)昭和の名将・樋口季一郎
【10min解説】ユダヤ人救出、奇跡の撤退…名将・樋口季一郎
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(2)オトポール事件と極東ユダヤ人大会
オトポール事件と極東ユダヤ人大会の真相…失脚覚悟の決断
門田隆将
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(2)司令官の決断と苦悩
玉砕したアッツ島の絵を毎朝拝んでいた樋口季一郎…司令官の苦しみ
門田隆将
ウェルビーイングを高めるDE&I(2)人と組織を取り巻く環境変化:後編
なぜ日本の幸福度は低すぎるのか?会社任せで失われる自律性
青島未佳
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国大名と民衆の過酷な課題…飢饉の常態化をどう生き延びるか
黒田基樹
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫