デカルトの存在論に学ぶ
この講義シリーズの第1話は
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
デカルトの「心身二元論」…事象的区別とは何か?
デカルトの存在論に学ぶ(2) 心身二元論とは何か
津崎良典(筑波大学人文社会系 教授)
デカルトは方法的懐疑によって、疑う私は存在する、と考えた。では、精神ではなく、物体はどのようなものとして理解すればよいのか。物体と精神との関係、そして「心身二元論」について解説する。(全3話中第2話)
時間:11分03秒
収録日:2018年9月27日
追加日:2019年3月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●方法的懐疑の手綱を緩めて、物体について考える


 もう一度要点を言います。「我思う、ゆえに我在り」というのは、いろいろ疑ってみて、その疑っている限りの私は、やっぱり存在しているのだということです。ここで少し、疑うということの手綱を緩めてみます。

 今は頑張って、疑っている。外的世界はないのだと、外的感覚を疑う。また自分の内的感覚も疑う。そのことで、自分の身体も完全に抹消してしまう。欺く神という、とてつもないものを想像してみて、私が知性を働かせているその瞬間にも、私が間違えるように神によって仕向けられている、という破格な想定をしてみる。そうして、懐疑の手綱を強く引き寄せているわけです。

 この手綱を少し緩めてみます。今は存在しないと仮定している、この世界にある物体のことを考えてみようということです。例えば、本であったり、服であったり、眼鏡であったり。


●物体の本当の姿はこの空間に何らかの形をとって広がること


 ただ、デカルトがそこで出してくる物体の例は少し風変わりです。あまり私たちの日常世界に出てきません。それは蜜蝋です。ろうそくと言えば分かるでしょうか。でも蜂蜜でできているろうそくです。

 皆さんのご家庭で、ろうそくで毎日ご飯を召し上がるという方は、そんなにいらっしゃらないでしょう。少し雰囲気を出したいときなどにろうそくをお使いになるご家庭はあるかもしれませんが、ろうそくが日常の必需品だという方はそう多くはいらっしゃらないと思います。だから、ろうそくはおろか蜜蝋と言われると、一体何かと思われる方はいらっしゃるかもしれませんが、蜂蜜で作ったろうそくのことです。

 これを火に近づけてみます。火に近づけると想像してください。どうなるか。形が変わります。溶けます。溶けるだけではありません。色が変わります。匂いも変わり、最終的にはなくなります。「だけれども」とデカルトは言います。その感覚によって捉えられた限りの蜜蝋は、ぐにゃぐにゃになったり、匂いがしてきたり、焦げたりと変化するけれども、私の精神はそこに蜜蝋があるということを、ずっと捉えているではないか。そこからデカルトは、蜜蝋に代表されるようなこの現実の世界に存在しているあらゆる物体の本当の姿というものは、感覚によって捉えられた色であるとか、匂いであると...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
インド神話の基本を知る(1)インドの特性と神話の成り立ち
インド神話…『リグ・ヴェーダ』『マハーバーラタ』の壮絶な物語
鎌田東二
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
日本画を知る~その技法と見方(1)写実・写意・写生
日本画で大切な「写意」「写生」の深い意味とは?
川嶋渉
編集部ラジオ2026(34)『オデュッセイア』の秘密と愉しみ
【10min解説】大ヒット映画『オデュッセイア』がもっと楽しくなる神話講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫