デカルトの存在論に学ぶ
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デカルトの「心身二元論」…事象的区別とは何か?
デカルトの存在論に学ぶ(2) 心身二元論とは何か
津崎良典(筑波大学人文社会系 教授)
デカルトは方法的懐疑によって、疑う私は存在する、と考えた。では、精神ではなく、物体はどのようなものとして理解すればよいのか。物体と精神との関係、そして「心身二元論」について解説する。(全3話中第2話)
時間:11分03秒
収録日:2018年9月27日
追加日:2019年3月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●方法的懐疑の手綱を緩めて、物体について考える


 もう一度要点を言います。「我思う、ゆえに我在り」というのは、いろいろ疑ってみて、その疑っている限りの私は、やっぱり存在しているのだということです。ここで少し、疑うということの手綱を緩めてみます。

 今は頑張って、疑っている。外的世界はないのだと、外的感覚を疑う。また自分の内的感覚も疑う。そのことで、自分の身体も完全に抹消してしまう。欺く神という、とてつもないものを想像してみて、私が知性を働かせているその瞬間にも、私が間違えるように神によって仕向けられている、という破格な想定をしてみる。そうして、懐疑の手綱を強く引き寄せているわけです。

 この手綱を少し緩めてみます。今は存在しないと仮定している、この世界にある物体のことを考えてみようということです。例えば、本であったり、服であったり、眼鏡であったり。


●物体の本当の姿はこの空間に何らかの形をとって広がること


 ただ、デカルトがそこで出してくる物体の例は少し風変わりです。あまり私たちの日常世界に出てきません。それは蜜蝋です。ろうそくと言えば分かるでしょうか。でも蜂蜜でできているろうそくです。

 皆さんのご家庭で、ろうそくで毎日ご飯を召し上がるという方は、そんなにいらっしゃらないでしょう。少し雰囲気を出したいときなどにろうそくをお使いになるご家庭はあるかもしれませんが、ろうそくが日常の必需品だという方はそう多くはいらっしゃらないと思います。だから、ろうそくはおろか蜜蝋と言われると、一体何かと思われる方はいらっしゃるかもしれませんが、蜂蜜で作ったろうそくのことです。

 これを火に近づけてみます。火に近づけると想像してください。どうなるか。形が変わります。溶けます。溶けるだけではありません。色が変わります。匂いも変わり、最終的にはなくなります。「だけれども」とデカルトは言います。その感覚によって捉えられた限りの蜜蝋は、ぐにゃぐにゃになったり、匂いがしてきたり、焦げたりと変化するけれども、私の精神はそこに蜜蝋があるということを、ずっと捉えているではないか。そこからデカルトは、蜜蝋に代表されるようなこの現実の世界に存在しているあらゆる物体の本当の姿というものは、感覚によって捉えられた色であるとか、匂いであると...

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