経済学的発想とは何か
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
経済学がグローバル性を持ち得た理由とは?
経済学的発想とは何か(3)普遍的な社会科学として
科学的方法では、測定可能性と再現性が問われる。対象が社会や人間であり、測定や再現の難しい経済学が社会科学として普遍的な学問になり得た理由は、どこにあるのだろうか。また、コンピュータが可能にした経済学の「実験」とは。(全3話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:8分11秒
収録日:2019年7月10日
追加日:2019年9月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●経済学が普遍的な学問になり得た理由


―― (前回は企業でも学問でも、競争がそれらを変え、動かすエンジンだとうかがいました。)それに加えて経済学にはグローバルな学問だという側面がありますよね。

柳川 経済学がグローバル性を持ち得たのは、理論モデルをつくって、抽象化したピクチャーをつくり上げたからです。もちろんそれが100パーセント現実模写ではないので、細かいところは厳密性を欠くのですが、そういうモデルをつくり上げたことで、それが他のところで適用しやすくなった。グローバルで、国が違えば、制度も違うし、社会的なシステムも違うので、そのままでは、実は応用できなかったりするのですが、「大枠のところはどこの国でも似たようなことが起きている」、ということでいくと、その理論モデルが通用する、ということができたので、そこがある意味で普遍的な学問になり得た一つの理由だと思います。

 中には「そういうのは学問ではないんじゃないか。現実の100パーセントの記述ができていないので、科学といえないんじゃないか」という人もいるんですけど、現状でいう社会科学というのは、そういうものだと思うんですよね。ある種の、現実の、分かりやすい見取り図、地図を描く、と。現実の分かりやすい見取り図というのは、100パーセント現実を模写するわけじゃないと思います。やはりそういうものをつくることには、僕は意義があると思っています。


●理論モデルを補強するデータ分析と「実験経済学」


柳川 ただその経済学の中でも、昔は実験ができないから、理論モデルがあっても、それが本当に正しいかどうか、なかなか検証できない、という議論がされていたんですけど、ここ最近は経済学でも大きな変化が起こりつつあって、かなりのデータ分析ができる、実証分析ができるようになったので、世の中、本当は何が起こっているのか、ということをデータで見ることができるようになった。

 そうすると、理論の検証だとか、実際、「実験経済学」みたいなのもあるので、それは箱庭実験みたいだったりするし、限界のある実験ですけど、理論を検証することができるようになってきた。ということで、かなりデータだとか実際に起こっていることをしっかり見る、というところにウエイトが置かれるようになってきました。ここが今の経済学の大きな変化だと思います。

―― その流れで今、ビッグデー...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題
大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
デモクラシーの基盤とは何か(3)政治と経済を架橋するもの
「哲学・歴史」と「実証研究」の両立で広い視野をつかむ
齋藤純一
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏