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「本当に必要なもの」に予算を充てよ

自衛隊改革(2)防衛費予算の最適な配分とは?

小野寺五典
衆議院議員
情報・テキスト
最近、実現した最新戦闘機の大量購入は、自衛隊における老朽化した装備の最適化という改革の一環である。現在、表面化しているのは、防衛費の増大と予算配分の困難さであり、これをクリアするためには自衛隊員自身による改革の提案と新しいチャレンジが求められる。そのためには、命令や決定は「明確、迅速、かつ徹底的」に行う必要がある。(全4話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:06:03
収録日:2019/06/19
追加日:2019/10/24
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≪全文≫

●F35戦闘機をこれほど多数買って大丈夫なのか?


―― 今般、F35など最新の戦闘機をかなりの数、購入したという経緯があります。これは一面では航空自衛隊の戦力向上という効果があると思うのですが、その反面、これによって通常装備や補給品などに少ししわ寄せが出てきてしまうのではないかという懸念が一部で囁かれています。このバランスについてはどのようにお考えでしょうか。

小野寺 前提として、F35は非常に優秀な航空機です。そして重要なのは、この購入が意味するのは単なる買い足しではなく、買い替えであるということです。日本では今でも、ベトナム戦争の時に主力であったF4(ファントムⅡ)という戦闘機が使われています。しかし、このF4は、私が防衛大臣であった時すでに、着陸の際に足が折れるなど、老朽化による劣化が確認されていました。そこで、これらを買い替えないと隊員の生命にも関わるという認識を持っていました。そのため、このF4から買い替えるということで、まず、F35を42機導入しました。

 この次に買い替え案件として落ちてくるのが、F15という現在の主力戦闘機です。これにも改修できない古いタイプの戦闘機があります。これももう危険な状態にあるので、逐次変えていく必要があります。そこで、この買い替えとしてF35を約100機購入しました。決して買い足しているわけではなく、新しいものに買い替えているというのが実態です。

―― 買い替えているだけなのですね。

小野寺 ということは、逆に今使っている飛行機がなくなるので、そちらの附属品などが必要なくなります。他方で、前に比べ1機当たりの開発機が高くなっているので、どうしても防衛装備費用がかさんでしまいます。これはどの国も抱えている悩みです。


●「自衛隊を変える」ことと予算配分の問題


―― これは前回言われた、戦車や大砲をどのような場面で使うのか、本当に必要なのか、という根源的な問いかけとつながります。やはり、今の戦争形態に合わせた形に自衛隊を変える必要があるということでしょうか。

小野寺 これは非常に悩ましいのですが、予算の配分に関わる問題です。つまり、配属が大砲という人も迫撃砲という人も戦車という人も、どの職種も予算が欲しいのです。片方が予算を多く取ると、他方は得ることができません。

 しかし、重要なのは、本当に必要であればその項目には予算がつくということです。ですから、予算が来ないと嘆くのではなく、それがいつどのようなケースで必要なのか、必要なケースのためにどのような装備を自分たちが整備したいのかということを積極的に主張することが重要です。

 そうした前向きな改革でないと、「伝統としてずっと続けているからこれがなくなると困る」というような後ろ向きの主張になってしまいます。それでは、むしろ私たちが困るのです。そのためやはり、隊員自らが改革の気持ちを持ち、新しい状況下で何が今必要かということを見極め、どんどんチャレンジしてもらいたいと思います。

―― ですが、こうした根源的問いかけをしつづける大臣やトップがいないと、組織は変わっていかないという側面もあります。

小野寺 もちろん隊員たちにとっては、元の方が楽ですからね。長年やっているものをまた伝統として受け継ぎ、次の人でも続けていた方が楽なのです。しかしやはり、それが現在、本当に必要な装備なのかを考え、必要なものに変えていくことをやり続けなければなりません。これは大変なことです。


●命令や決定は「明確、迅速、かつ徹底的」に行え


―― 第二次世界大戦中にも類似した事例があったように思います。南雲忠一艦長は、水雷艇出身であったにもかかわらず機動部隊で空母を率いていたというエピソードです。そうなるとやはり、戦略について確認しながら進めていかなければならないので、初動が遅れてしまいます。しかし、敵機はやってきます。それゆえ、(ミッドウェー海戦でも、ミッドウェー島の基地攻撃のための爆弾から、敵空母部隊攻撃のための魚雷へ)爆弾などを詰め替えている間に、つまり発進しないうちに敵機にやられてしまいました。

小野寺 『失敗の本質』を読んでみて、「なるほどな」と思ったことがあります。それは、司令部による作戦命令が非常に不明確だったということです。あの時、米軍は空母だけを狙えと明確に指示したそうです。日本は(作戦の主たる目標が、ミッドウェー島攻略なのか敵機動部隊の撃滅なのか不明確で)「敵を叩け」という漠然とした作戦でした。そうして、アメリカは戦艦に目もくれず空母だけを狙ったため、虎の子の空母がどんどん沈められました。こうした経験から分かるのは、やはり命令や作戦は明確にすべきであり、これがあいまいな場合にはミッドウェー海戦のようになってしまうということです。

―― アメリカはこの点、...
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