習近平の野望~中国の権力闘争
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
21世紀の毛沢東と周恩来を目指しているのか?
習近平の野望~中国の権力闘争
岡崎久彦(外交評論家)
薄熙来、徐才厚、周永康と相次ぐ超大物の摘発、失脚。この「粛正」を断行しているのが習近平国家主席だ。「腐敗追放」のスローガンの背後で習近平が真に狙うものは何なのか。岡崎久彦氏が彼を「毛沢東かスターリンか」と評する理由とは。隣国・中国の「いま」を探る。
時間:18分40秒
収録日:2014年8月1日
追加日:2014年9月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●目的は独裁体制確立?やまぬ粛正の嵐


── 習近平という人はただものではありませんね。

岡崎 私もそう思うのです。顔つきから言っても、どこか毛沢東のようです。目が鋭くて、何を考えているか分からないでしょう。

── お父さんは習仲勲で、毛沢東の怖さとすごさを、自分もよく……。

岡崎 知っているのですよね。

── 文化大革命(文革)の時に、自分も父親もたたかれましたので、両方を見て、その知恵がおそらく…。

岡崎 習近平が7月に周永康を粛清しましたよね。これは粛清するだろうと前から言われていましたが、しかしこれはいったい何が起こっているのだろうかと思っていました。

 もちろん権力闘争ではあります。ですが、権力闘争というものは、普通、大臣や党の要人のポストの話です。ポストの話だとすると、一昨年の党大会で常務委員を全部入れ替え、それから全人代で大臣を入れ替え、普通ならそれで権力闘争は終わっているはずなのです。

 ですから、その頃の評論では、今は中国が強硬な態度をとっているけれども、それはやはり権力闘争の最中は「軟弱だ」と言われると足を引っ張られるから、強硬派のふりをしなければならないからだろう、ゆえに権力闘争が終わったら、あるいは少しは穏健化するかもしれないという判断もあったぐらいです。共産党大会と全人代と両方を通じて権力闘争がないわけはないのだから、それでだいたい片が付いたろうと。

 それで、片が付いたのが去年の4月です。ところが、その後もすごい勢いで粛清が続けられているのです。それはいったいどういう意味だろうかと思うと、もちろん権力闘争だけれども、ただの権力闘争ではないのではないか。

 では、どういう権力闘争かというと、習近平の独裁体制をつくるための権力闘争なのではないか。そうとしか、私は考えられないのです。

 独裁体制をつくるための権力闘争とは、一番ひどい例を言えば、1938年から39年にかけてのスターリンの粛清です。これはものすごかったです。

── トロツキーとか。

岡崎 レーニン以来の革命精神に燃えた連中、つまりロシア革命の原動力になった面々をほとんど全部殺してしまいました。この粛正で30万人以上は優に殺したのではないでしょうか。

── すごい数ですね。

岡崎 粛清といって、本当に裁判にかけて殺しました。それで、習近平が軍制服組の徐才厚を...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男