ガザ地区におけるイスラエルとパレスチナの対立
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ガザ地区のイスラエルとハマスの対立を3つの次元で考える
ガザ地区におけるイスラエルとパレスチナの対立(1)三つの次元の変化
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
多くの犠牲者を出して、今なお、戦火の絶えないパレスチナ・ガザ地区。イスラエルとパレスチナの問題は、なぜ根本的解決に至らないのか? 歴史学者・山内昌之氏が三つの次元でこの問題の深層に迫る。
時間:20分26秒
収録日:2014年7月30日
追加日:2014年9月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●三つの次元で捉えるガザにおけるイスラエルとパレスチナの対立


 皆さん、こんにちは。今日は、多くの犠牲者を出して続けられているパレスチナのガザにおける戦闘、あるいは、戦争についてお話してみたいと思います。

 今回のガザの問題が示しているのは、イスラエルの南部国境の安全保障がいかに不安定であるかということを示しています。今回もイスラエルは、そうした安全保障の確保と言いながら、国際世論に対しても十分に説明できない理由によって、パレスチナ人の側にすでに1000人以上の犠牲者を出すという形で作戦を進めています。

 こうした問題を、とりあえず今、イスラエルとガザ、特にイスラエルとハマスとの関係を中心に考えてみるとき、私たちは三つの次元で問題を捉えることができます。

 その第一は、申すまでもなく軍事的な次元であります。これは、戦場、あるいは市街地が、戦闘地帯と化しているという悲劇によって象徴されます。

 二つ目は、いわば国際的正当性とも言うべきものです。イスラエルは、何ゆえにガザにおいてこうした戦闘行為を続けるのか。また、ハマスは、何ゆえにイスラエルに対して停戦に応じないのか、といったような問題です。同じことは、何ゆえにイスラエルは、ハマスに対する停戦を恒常化しないのか、ということにも当然つながりますが。こうした問題を、国際世論がどう捉えているか、という点の次元です。

 三つ目は、イスラエル人、もしくは、ユダヤ人、他方はパレスチナ人、もしくは、ガザ住民といった、こうした国民的なアイデンティティです。つまり、自分たちは何のために国を守るのか、あるいは、何のためにその土地を防衛するのかといった、そのアイデンティティの深さ、あるいは広がりに関わる問題であります。


●軍事的成功を収めつつ、国際的正当性を失いつつあるイスラエル


 今、歴史的に考えますと、イスラエルは過去65年間に最初の二つの次元において成功を収めてきました。すなわち、軍事的な次元における成功と、国際的世論におけるどちらかというとイスラエルに対して同情的な流れです。第二次世界大戦中のホロコーストや、あるいは、ユダヤ人に対する伝統的なヨーロッパの反セム主義、ユダヤ人差別など、こうしたことの歴史的な結果として、国際世論の同情を収めることに成功してきました。

 しかしながら、現在において申しますと、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦争と平和の国際政治(1)「合理性の罠」とインテリジェンス
国際政治の要諦は戦略とインテリジェンス
小原雅博
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生

人気の講義ランキングTOP10
高市政権の進むべき道…可能性と課題(3)外交への懸念と経済復活への提言
「強い経済」へ――実現への壁は古い日本と同調圧力!?
島田晴雄
インフレの行方…歴史から将来を予測する(4)10年後の物価…5つのシナリオ
5つのシナリオ分析…10年後の日本の物価水準はどうなる?
養田功一郎
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
おもしろき『法華経』の世界(9)「如来寿量品」と三身論
仏の寿命は無量で久遠に実在する…「如来寿量品」の神秘
鎌田東二
AI時代と人間の再定義(5)AI親友論と「WE」という概念の問題
AI親友論って何?「Self-as-WE」と京都学派の思想
中島隆博
未来を知るための宇宙開発の歴史(5)冷戦の終了と変化する宇宙開発の目的
国際宇宙ステーション、スペースシャトルの意義と目的は?
川口淳一郎
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
いま夏目漱石の前期三部作を読む(8)『門』の世界観と日本の近代化
伊藤博文暗殺…日本近代化で本当にいいことがあったのか
與那覇潤