ガザ地区におけるイスラエルとパレスチナの対立
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ガザを統治するハマスはなぜ妥協なき戦いを続けるのか?
ガザ地区におけるイスラエルとパレスチナの対立(2)イスラエルの軍事作戦とハマスの政治的戦術
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
ガザ地区ではなぜ、恒久的平和はおろかしばしの停戦状態さえ維持できないのか? そこにはイスラエルの報復的軍事行為もさることながら、イスラエルとの交戦を高次の政治的意図をもって捉えるハマスの発想が大きく影響している。山内昌之氏がガザの不幸な現実を、ハマス側の事情を踏まえて徹底解説する。
時間:20分21秒
収録日:2014年7月30日
追加日:2014年9月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●ハマスをイスラエルとの妥協なき戦いに向かわせる背景


 皆さん、こんにちは。前回は、今起きているガザの問題につきまして、特にイスラエルとハマスの間の対決がなぜ行われているのか、そうした問題について、ガザの市民、子どもたちを襲っている悲劇に触れながら語ってみました。

 ところで、こういう疑問も一方では出てくると思います。こうした衝突にあたってイスラエルが行っている行為は、確かに批判されてしかるべきものである。しかし、時としてハマスの方にも責任はないのか。パレスチナの側で実効支配し、そして統治を担っているハマスの政権が、何ゆえにイスラエルとの停戦に応じないのか、といったような問題は、当然疑問として出てくると思います。この点などを中心に、今日はお話してみたいと思います。

 今回、確かにイスラエルとの間の対決において、ハマスには妥協がありません。妥協がないのは、ハマスの側が、ある意味この間苦境に立っていたからです。

 パレスチナ人の子どもが、7月2日にイスラエルによって殺害されました。ユダヤ人の過激派による行為とされていますけれども。こうした子どもたちが殺害されるという行為を、ある意味で理由、機会にしまして、ハマスはイスラエルとの正面対決に踏み切ったのですが、この背景にあるのは、ハマスが持っている地政学的な弱さ、それから、経済的な弱さということです。


●ハマスの苦境-地政学的弱さと経済的弱さ


 簡単に申しますと、ハマスはガザで統治を担っているのですから、そこでは公務員を雇っています。しかし、その公務員たちに対して給料を払えなくなってきているというような状況がある。さあ、どうするか、というような点で、ある意味でイスラエルとの対決といったような面が、彼らにとってはそういう国内における失政をカバーする要素にもなっているのです。

 もう一つは、パレスチナ人の内部における、特に西岸を支配しているパレスチナ自治政府(Palestinian Authority、〝PA〟)との関係です。つまり、今のガザにおける問題の複雑性は、イスラエル対ガザ、イスラエル政府対ハマスだけではなく、実はパレスチナ内部におけるハマス対ファタハの対立も関係しています。ファタハとは、パレスチナ解放機構(PLO)の主要勢力であり、今のパレスチナ自治政府を担っている政権です。こうした複雑な関係...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
戦争は絶対してはいけない…外交官の母が説いた平和の尊さ
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
AI時代と人間の再定義(7)AIと倫理の問題と法整備の可能性
AIに正しい倫理を学ばせるには?徳倫理学のススメ
中島隆博
編集部ラジオ2026(2)「時代の大転換期の選挙」特集を解説!
「大転換期の選挙」の前に見ておきたい名講義を一挙紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
これからの社会・経済の構造変化(4)日本企業の課題と組織改革の壁
日本の場合、トップダウンよりボトムアップで変えるべき?
柳川範之
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(5)日本外交の進むべき道
中国の「国進民退」に危機感…これからの日中関係を読む
小原雅博
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部