「海の哺乳類」の生き残り作戦
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
クジラやイルカにある「浮いた骨」の正体とは
「海の哺乳類」の生き残り作戦(5)骨盤と舌骨の秘密
田島木綿子(国立科学博物館 動物研究部 研究主幹)
実際に骨の標本を見ながら、鯨類に見られる骨盤や舌骨の特徴などについて解説する最終話。クジラやイルカには、体から離れた「浮いた骨」があるが、その正体は骨盤の名残だという。どういうことなのか。陸の哺乳類とは異なる海の哺乳類の骨のあり方を知ると、彼らが生き残るための工夫を随所に凝らしていることがよく分かる。(全5話中第5話)
時間:7分19秒
収録日:2019年7月5日
追加日:2020年5月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●クジラやイルカにある「浮いた骨」の正体は骨盤の名残


 では、骨を見ながらいろいろと勉強したいと思います。

 これはハンドウイルカというイルカの骨なのですが、頭からしっぽの骨です。頭の方からずっと見てくると、ここ(しっぽのほう)に空中に「浮いた」骨があります。皆さん、これは何だと思いますか。

 これはハンドウイルカだけではありません。こちらの骨も見てください。例えば、これはガンジスカワイルカなんですが、このイルカのここ(しっぽのほう)にもあります。

 上に吊ってあるのはツノシマクジラというヒゲクジラですが、その個体にも浮いた骨があります。

 ちょっと奥の方にセミクジラがあるのですが、分かりますか。そこにもぶらさがっている骨があります。

 皆、クジラはこういう骨を持っています。これは何かというと、実は骨盤の名残になります。なぜこういう骨があるのでしょうか。例えばこちらに四足動物の骨がありますが、普通われわれも含めて、脚があって脚と体をつないでいるのが骨盤になります。

 つまり皆、大体骨盤を持っていますが、イルカたちは進化の過程で脚を退化させ、尾ビレで動くことを選択したので、脚はいらなくなってしまいました。そうすると、体と脚を連結させる骨盤はだんだんその機能を失ってしまって、だんだんこのように「浮いた骨」の形になってしまった、というのが正解になります。


●脚が退化しても骨盤として残っているのは内臓との関係を保つため


 では「だったら骨盤(浮いた骨)はなくせばいいじゃない。もういらないじゃないか」と思う方もいるでしょうし、「なぜこんな形でもまだあるんですか?」と思う方もいるかもしれません。そう思うのももっともです。ただ、脚と体の連結という機能はなくなったのですが、実は彼らのお腹の中には内臓があるので、そうすると、内臓と骨盤の関係は保っているのです。つまり、ちゃんとした骨盤の機能は残ってはいないけれども、内臓との関係はしっかり残っているので、あのような「浮いた骨」という形でも骨盤として残すべくして残している、とわれわれは考えていますし、今のところそういう説が有力になっています。
...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
発酵はマジックだ!
色を消し、脂を溶かし、水を分解―スゴすぎる発酵の力!
小泉武夫
Beyond5G・6Gで進む情報通信の民主化(1)情報通信の民主化と「協創」
6Gの研究開発を推進する情報通信の民主化
中尾彰宏

人気の講義ランキングTOP10
イラン戦争と終末論(3)トランプ・ネタニヤフの終末論的共生
私利私欲で世界を振り回す二人の指導者とイラン戦争の実態
東秀敏
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
ウェルビーイングを高めるDE&I(1)人と組織を取り巻く環境変化:前編
人材はコストではない!人的資本経営が注目されている背景
青島未佳
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(1)決断と信念のユダヤ人救出
毅然として人道を貫き、命を救う…樋口季一郎のユダヤ人救出
門田隆将
編集部ラジオ2026(13)心の「柔軟性」を高めるヒント
【10minでわかる】心の「柔軟性」を高めるヒント
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(3)3つの一神教、それぞれの物語
信じる神は同じだが…ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の異同点
鶴見太郎
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(2)「日本沈没」と言いたい人々
リーダーが持つべきセンスとは何か
楠木建
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
こどもと学ぶ戦争と平和(5)防衛力の強化という問題と歴史の教訓
賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ…本当に大切なことは?
小原雅博
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏