「海の哺乳類」の生き残り作戦
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ストランディング調査から分かった環境汚染物質との関係
「海の哺乳類」の生き残り作戦(3)ストランディング
田島木綿子(国立科学博物館 動物研究部 研究主幹)
海の哺乳類が海岸に打ち上げられる現象を「ストランディング」と呼ぶが、博物館などに展示されている資料や標本の多くはストランディングの漂着物を活用したもので、そうしたものが新種の発見などにも貢献している。しかし、ストランディングについての調査を進めていく過程で、環境汚染物質との関連性が浮上してきた。(全5話中第3話)
時間:11分28秒
収録日:2019年7月5日
追加日:2020年3月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●「ストランディング」という現象は年間300件前後起こっている


 今度は、海岸に打ち上がった海の哺乳類がいるのですが、それを調査するとどんなことが分かって、どんなことに活用できるのか、というお話をいたします。

 実は、日本沿岸には海の哺乳類が海岸に打ち上がってきてしまうストランディングという現象が、年間300件前後起こっているのです。そうすると、1日1頭どこかで何かが死んでいるくらい、実は非常に普通に起こっていることなのです。ただ、残念なことに日本では現状、水産庁の通達として地方自治体がそれらを粗大ごみとして処理をすることになっているため、厄介者的にただのごみとして扱われることになってしまうのです。

 われわれのような博物館の研究者は、それをなんとか研究資料や博物館標本にしたいということで、ずっと前からいろいろと活動していますし、それは世界的にも行われている活動の1つになります。つまり、われわれはストラディング個体を調査研究して、そこからいろいろな資料を得たり、いろいろなことに使ったりして彼らのことをもっともっと知ろうという活動をずっと続けているということです。


●漂着個体を博物館の展示資料や正確なポスターづくりに活用


 それはどういうことに活用できるのかというのを、皆さん疑問に思ったりするので、その一部をご紹介します。

 実はわれわれの上野にある国立科学博物館(科博)には地球館というものがあり、そこではこのようにマッコウクジラという種類の標本がつるされています。それも実は随分と前になりますが、約20年前に静岡県の海岸に漂着して、残念ながら死んでしまったクジラを、われわれがいろいろと調査して処理をし、専門業者に預けたのです。それが、なんと漂着から4年半かけて科博の標本の目玉の1つとして生まれ変わって展示されることになったため、皆さんが見ることができるようになりました。つまり、博物館の展示標本として活用できる、ということが1つあります。

 他にも、特別展や常設展の資料に関しても、90パーセント以上が、ストランディング活動からの情報によるものだったり、その標本だったりします。上のスライド...

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