2050年の世界を考える―世界の現状
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
豊かになるスピードがとても速いこと、分かりますか?
2050年の世界を考える―世界の現状(2)視点2:人工物は飽和する
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
2014年8月3日開催「プラチナ未来人財育成塾@会津」におけるプラチナ構想ネットワーク会長・小宮山宏氏講演「2050年の世界を考える」を収録。次の世代を担う中学生たちに向けて、小宮山氏が熱く語りかける。(全17話中第3話目)
時間:7分38秒
収録日:2014年8月3日
追加日:2014年9月27日
≪全文≫

●産業革命による人工物の飽和で、自動車保有は2人に1台


 今「産業革命が人々を豊かにした」と言いましたが、もう一つ重要なのは「産業革命の結果、何が起きているのだろう」と考えることです。僕は、それを「人工物の飽和」と呼んでいます。

 「人工物」とは、人間がつくったもの全てです。鉛筆もそうだし、ここで書いているのは自動車です。この表には、自動車を皆がどれぐらい持っているかが書かれています。

 この表では、右側の数字が「1」になると「1人が1台持っている」ことを表します。今、日本には5800万台の自動車が走っていて、人口は1億2000万強です。5800万を1億2千何百万で割ると、0.45になります。

 先進国の場合は、ほとんど全部が0.5です。「1人当たり1台」が1ですから、0.5だと2人に1台が車を持っている。国によって少しずつ状況は違いますが、結局どの先進国も、2人に1台が車持つと、大体それ以上は増えません。

 車が欲しくて仕方がなかったのが、僕たちの学生時代です。でも、お金がなかったから買えませんでした。君たちのお父さんやお母さんは、車を持っているでしょう。持ちたくない人もいるでしょうが、欲しい人はもう持っています。2人に1台持つと、もう増えないというのは、そういうことです。


●先進国の悩みは、「廃車になる台数しか車が売れない」こと


 日本には今5800万台の車がありますが、10年前にも5800万台(この表は2007年)だし、この後も5800万台のままで、増えません。人口もほぼ飽和していますからね。

 そうすると、車の台数が増えないということは、日本ではもう車は売れないのでしょうか?

 答えはそうではない。実際に車はたくさん売れていますよね。ただ、それはスクラップ(廃車)になる分だけ新車が売れているのです。それが分かると、1年間に日本で何台の車が売れるかについて、考える方法が分かりますね。

 5800万台の車がありますが、日本では新しい車が大体12年で廃車になっていきます。ですから、5800万台÷12年が、1年に売れる車の台数になるわけです。

 後でゆっくり考えるといいですが、これはものすごく重要で、いろいろなところに出てくる話で、いろいろな場合に応用が効きます。

 5800万台の車が12年かけてなくなっていく。そうしたら1年に売れ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎