トルコ現地調査レポート
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歴史学者としてこだわりのあった地域を訪れて
トルコ現地調査レポート(2)高地から黒海、そしてグルジアへの旅
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
実際に山間部を歩いてカラベキル将軍の戦略を理解する。グルジアの町バトゥームの古ぼけたタンクローリーに時代の変遷を読み取る。山内昌之氏の歴史家の目が冴えわたるトルコ現地調査レポートの第2弾。(全3話中第2話目)
時間:12分00秒
収録日:2014年7月17日
追加日:2014年10月16日
カテゴリー:
≪全文≫

●実地検分で、カラベキルの戦略意図を実感する


 さらに、カラベキル将軍がエルズルムから離れて最初の砲煙を置いたホルムの高地に参りました。そのホルムの高地から眺めたソーアンルという山並みの素晴らしさ。その意味合いがいわば観光的、あるいは、現地の観察だけでいえば素晴らしいのですが、実は、そこが戦略的に見て非常に重要で、このソーアンルに対してなぜカラベキルがこだわったかということが、よく分かったりしたのでした。

 それから、カルス市に移りまして、今度はこのカルスを一望するドゥマンルダーという山、このカルス市の郊外にあるドゥマンルダーという山に登ったりいたします。これは、この地図では2699メートルと書いています。ほぼ2700メートルの山なのですね。そこで、真夏なのですが、念のためにセーター、ジャケット等を持っていきました。当然役に立ちました。急に雨が降ってくる、急に風が吹いてくる。もう気温がいきなり一桁台に下がっていくというようなところも経験したわけでありまして、このドゥマンルダーの山、2699メートルから俯瞰いたしました。

 そうしますと、地図に私が書いてありますように、カルス、そして、カルスの周りの山々、つまり赤い丸でチェックしたようなところ、これらが一望に見えるわけです。すると、ここがカルスを巡るカラベキルの作戦、攻防戦において重要な場所であるということが分かるのです。こうしたことを俯瞰するときには、やはり大きな山から眺めてみる必要があります。このようなことは、実際に行ってみないと分かりません。この近くでは一番高い山の一つであるドゥマンルダーから見てみますと、辺りを一望して見ることができる。この地理感覚、地勢感覚が、なかなか本だけで勉強していたり、書物を書くだけでは分からないのです。


●急な山道から黒海へ-史実がリアリティをもって迫ってくる体験


 このような旅行でやはり一番度肝を抜かれたのは、カルスからアルダハンに抜け、そしてこの山道、山々を通ってアルトヴィンに抜けていく、こういう旅を続けたときのことです。地図をご覧ください。この山々の等高線がこれだけぎゅっと詰まっています。この山々は、2951メートルとか、3000メートルになるような山々もあります。そこがぎゅっと詰まっている、これだけの高低差のあるすごい谷に降りていくのです。少しずつ低い山々...

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