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これはドゥマンルダー山、カルス郊外の2699メートルの山で、現地の歴史に通じている案内人、それからトルコ人の友人、こういう人たちと一緒に、どの山がどこにあるかということを、地図を開きながら吟味しているところです。このように私は双眼鏡を手放さず、地図、この地図は25万分の1で当時の参謀本部が作った地図ですが、それを入手して見ていると、こういう次第です。
この写真は、アルバチャイ川です。先ほど触れたアルメニアとトルコの国境のアニ遺跡という、今はトルコに残っていますけれども、アルメニアにとって非常に重要な遺跡があります。教会等々の名残り、その遺跡群をアニ遺跡と呼んでいますが、そこにある教会から下に流れているアルパチャイ川、これを写した写真です。これは、今、アルメニアとトルコの国境になっている川です。この写真からもご覧いただけるように、大変に深い谷と崖によって、両国の間を分けている川ということになりますね。
こちらの写真は、先ほど申したように、アルダハンからシャヴシャトを抜け、シャヴシャトからさらにアルトヴィンへ抜けていく急峻な山と谷、その一部を写したものです。
だいたい写している高さ、雰囲気をご覧いただければよろしいわけです。
この写真はバトゥームの町で写したもので、まさに後ろに広がっているのが、バトゥーム港の引き込み線に置かれている、老朽化したタンクローリー車であります。今はパイプライン等を使えますので、こうした石油運搬タンクローリーというものの老朽化したものは廃棄されている状態かと思われますが、往時の繁栄、往時の石油運搬の名残を知ることができます。これはバトゥーム港の一部を写したものですね。
そして、これは、現地調査旅行から直接関係ないのでありますが、この書物のキーフィギュアであるキャーズィム・カラベキル将軍を埋葬している、国家功労者墓苑の記念碑の前にあるわけです。右上に「キャーズィム・カラベキル」とあるのがお分かりいただけるかと思います。この場所には、神蔵孝之氏とも一緒に行ってきました。
最後にこの写真は、カラベキルの三女、ティムサルさんと一緒です。ここはもともとカラベキと皆さんたちの家があったところで、それが今は改築されまして、キャーズィム・カラベキル博物館、ミュゼになっている場所です。海峡を隔ててアジア側のイスタンブール、エレンキョイという町にありますが、そこに往時の将軍をしのばせる遺品、特に書物や軍事用に使ったコンパス、双眼鏡、そうしたものも展示されている。大変質素ではありますが、非常に教養と知識の深さを感じさせるいろいろな書物が、外国の書物も含めて展示されており、そして、こうした多くの歴史的な展示物というものに、私は改めて心を打たれた次第でありました。ここも神蔵会長とご一緒したわけであります。


