●研究・考察の確認と人々との交流を意図して現地へ赴く
皆さん、こんにちは。私は、この6月22日から7月4日まで、トルコ共和国に行ってまいりました。そのうち1週間は、トルコの東部アナトリアと言われている山間部、山地部の現地調査に出かけてまいりました。残りの1週間は、アンカラ、イスタンブールを中心とする都市部における人々の聞き取り調査、あるいは、関係する史跡の訪問などをいたしました。
この基本的な目的は、昨年の秋に発行した『中東国際関係史研究-トルコ革命とソビエト・ロシア1918-1923』(岩波書店)という私の書物の舞台を、改めて観察することにありました。その本では、紙の上での本や文書館の資料、図書館の書物、そうした文献資料を中心に、考えをまとめたものでありました。
しかし、研究的にも、どこかやはりこの地域の様子や人々のたたずまいというものはどういうものなのか、今一つ自分で理解できない部分もありました。また、行ったこともない場所も多々ありましたので、この機会に書物で触れた土地や山々、あるいは、川というものを自分の目で確かめ、ささやかではありますが、そこに住む人々との交流や語らいということを意図して出かけてまいりました。
徒歩と自動車による東アナトリアの登山は、大変にきついものもありましたが、学問的にすこぶる有益でありました。また、イスタンブールやアンカラにおける都市部においては、この書物の主人公ともいうべきキャーズィム・カラベキル将軍の三女、ティムサル・カラベキルさんとお会いしたり、関係の人にインタビューすることもできて、まことに有益でした。
この旅の後半は、この「テンミニッツTV」の主催者である神藏孝之会長にも同行していただきまして、神藏さんにもこのような人々との触れ合いについていろいろとご感想をうかがったり、あるいは、そういうお立場から、トルコの歴史と政治に対するお考えなども併せて先方の人たちに伝えていただくなど、大変有益な交流も図られました。
●厳しい自然環境と水の流れがなす豊かな景観を実感する
さて、私が参りました東アナトリアは、標高1500メートルから2700メートルの高地で、山々の連続でありました。そもそもエルズルムやカルスという都市が1000メートル、あるいは、1200メートルクラスの高地にある町々なのです。地図だけで見ますと、まずこうしたこれらの町...