●世の中の変化に対して、政策のやり方も大きく変わっていく必要があった
―― 私が漠然と思っているのはことですが、実体経済の十数倍以上の金融マーケットがすでにできてしまっているというときは、例えばFRB(連邦準備理事会)が何か少し変えると全て変わってしまうということです。そういう意味で、変数がものすごく増えていますね。
柳川 そうですね、そこが今の難しさだと思います。おっしゃるように非常に大きい金融市場の中での経済運営は、例えば20年、30年前とも違うと思いますし、相当そういう意味で、世の中が日々変わっていくので、そこをどううまく取り込んでやっていくかというのは難しいところです。
もう一つは、グローバル化の動きもあります。どうしても財政の話は、一国だけで考えがちです。しかし、最終的にはグローバルにつながっている中での影響が出てきますので、そこも日々変わっていますし、だんだんだんだん世界のつながりが大きくなっています。よって、そういうことも考慮しなきゃいけないと思います。
―― 今、日銀の人たちが、エコノミストの水準としては一番高いと思うんですけれども、やはり40年負け続けるというのは、よっぽどのことだと思うんです。日本の産業政策も、少なくともIT立国を唱えながらこれだけ負け続けるというのは、よっぽどどこかで制度的な欠陥、あるいは人材育成の欠陥がないと、なかなか起きにくいですよね。
柳川 それはおっしゃる通りですね。「40年負け続けて」とおっしゃられて、改めてそうだなと思いましたけど、そうだとすると、やっぱりこの40年やってきたことを、そもそもかなり大きく見直すことが必要なのかなと、思います。そこは小手先ではなくて、かなり腰を据えて大きな改革をしていかないといけない。そうしなければ、今までやってきたことを簡単には変えられないでしょう。
あとはもう一つ、政策のあり方、企業経営のあり方というのは、この40年間の間で相当変わりましたよね。だから、個々の企業は生き残りをかけて、大胆なことをいろいろやってきているわけです。そうだとすれば、財政政策、金融政策含めて政策のやり方もものすごく大きく変わっていかなければいけなかったはずなんです。
その割には、政策の担い手の部分は、割とオーソドックスな形で縦割り構造になっていて、横並びできない。もう少しミクロとマクロの連携のような...