独裁の世界史~ビスマルク編
この講義シリーズの第1話は
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ビスマルクが危惧していた皇帝ヴィルヘルム2世の資質
独裁の世界史~ビスマルク編(2)独裁者の資質とドイツの悲劇
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
プロイセン首相からドイツ帝国宰相へ、ビスマルクがヴィルヘルム1世を補佐した時代は、「ビスマルク時代」と呼ばれる。その手腕は特に外交面に名高く、ヨーロッパが共存する時代を築いた。しかし彼は、ヴィルヘルム2世の孫である皇帝ヴィルヘルム2世に解任される。ビスマルクは、ヴィルヘルム2世の指導者としての資質を疑問視していた。そして、彼の危惧どおり、サラエボ事件を契機に第一次世界大戦へと突入してしまう。(全3話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分30秒
収録日:2020年1月10日
追加日:2021年1月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●ハードな外観と裏腹に「中庸」を重視したビスマルク


本村 30代の若きビスマルクは、文章をやすやすと読めるし、煙草をふかしたりしながらいつも男っぽい身なりをしていて、物怖じせず、非常に落ち着いて馬に乗っては、狩りの獲物を肉屋のように正確にさばいたと言います。また、酒も相当強く、他の人を酔いつぶしてしまうぐらいだったそうです。ということで、性格的に男っぽい部分を持っていたのでしょう。

 そのような強硬な側面もあれば、実に繊細にいろいろなものを見ている人でもあった。それはドイツ帝国成立後もそうで、そこには(「独裁の世界史」シリーズの中でお伝えしました)「中庸を心得よ」とか「ヒュブリス(傲慢)になるな」というような戒めが、もしかしたら彼の中にはあったのかもしれません。それは、彼の見てくれからではなく、やはり歴史的に見ても、そういう資質を持った政治的な指導者であり、独裁者としてはいいほうの部類に入る独裁者ではないかなと私は思いますね。

―― そうですね。当時のオーストリアやフランスを連覇していくほど強かったのに、「足るを知る」というのでしょうか。先生がおっしゃるように、ドイツの領域を固めればそれでよしとするところなど、まさに中庸的な発想でしょう。また、社会主義を弾圧しつつ、一方では社会福祉を政策として取り入れていくところも、ある種、中庸の形のようですね。


●「黄禍論」を唱えたヴィルヘルム2世の焦りとは


本村 ドイツがビスマルク路線をそのまま踏襲していれば、第一次世界大戦やその後の第二次世界大戦という、あの2回の大きな失敗を回避できたかもしれないと言われます。ところが、ヴィルヘルム2世が非常に独断的で、短気な人でした。ビスマルクは、「この人物が指導者になったらどうなるか」と少し危惧していますが、実際その局面に突入する前に彼は亡くなってしまいます。

 しかし、実際にドイツは結局、オーストリアの皇太子(夫妻)が射殺されたという小さな事件(サラエボ事件)を踏まえて戦争に踏み切る。今われわれは「第一次世界大戦」と呼んでいますが、あの時点では誰もあれほど大きな戦争になるとは思っていなかったとよく言われます。何かくすぶっていて、何となく収まるだろうと思っているうちに、だんだん外の勢力とつながっていって、大きな対立を招いてしまった。

 ドイツには、ロシアに対抗しようという...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(39)上野誠先生の万葉集講義と現代
【10min解説】万葉集に学ぶ「公務員倫理法」の大失敗?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(6)ピョートル大帝の宗教改革
王座に乗った革命家・ピョートル大帝の「宗教改革」と、ソビエト時代のロシア正教の「弾圧」と「利用」の実情
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
門田隆将
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
ロシア「内政・経済・外交」の真実(1)国民の支持を意識するプーチン政治
ウクライナ侵攻も支持率対策か…プーチン政治の実態に迫る
上月豊久
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎