独裁の世界史~ビスマルク編
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二度の敗戦で見過ごされてきたドイツの「帝国性」への警告
独裁の世界史~ビスマルク編(3)終わらないドイツ「帝国」
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
歴史に"if"を持ち込むのはタブーだが、ドイツに共和政が根づいていたら、二度の世界大戦は避け得たかもしれない、と考えずにはいられない。一方で、敗戦を機にドイツの持つ「帝国性」が見過ごされてきたことも無視できない。ヨーロッパの中では歴史的に大きな対立構造にあったのは「ドイツとロシア」の関係。それがまたいつ、どこで復活するかは分からないという危険性も見過ごしてはいけない。(全3話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分50秒
収録日:2020年1月10日
追加日:2021年2月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●「共和政」はドイツの暴走を抑えられたのか


―― (指導者個人の資質と歴史の流れの関係の難しさについては、)「独裁の世界史」シリーズのギリシア編でも話していただきました。独裁者も熱狂的に間違いをすることがあるように、民主主義でも、よく日本の大東亜戦争や太平洋戦争をむしろ新聞が煽り立てたところもある、といわれるような議論もあります。

 民主社会であっても、熱狂して戦争を拡大していくようなケースもある。だからこそ、ずっと「独裁の世界史」で論じてきた共和政の知恵というのが、キーワードになってくると思います。ドイツが共和政だったら、2回の世界大戦のような破局なしに済んだという可能性はあるのでしょうか。

本村 それは、あるでしょうね。共和政とばかりは言えませんが、フランスの例があります。フランスは19世紀の間、共和政と帝政を何度も繰り返し、「帝政には走らない」という知恵を得ました。ところが、ドイツの場合は第一次世界大戦の後、とてつもない賠償金を科せられることになりました。ケインズなども、それには非常に反対をしています。

 結局、独裁政といっても、それがどういう形でチェックされるかによるので、共和政であっても独裁者的な人が出てくる可能性はあります。20世紀のフランスになると、ジョルジュ・クレマンソーやシャルル・ド・ゴールのような人たちは、かなり強硬な政策を行いました。しかし、それは共和政という枠内でやっていることだったわけです。

 「共和政」という枠組みをはめていると、その中から出てくる独裁者にもどこかでチェックポイントが働いているということです。帝政では、それが働かない。皇帝ではなかったものの、ビスマルクのように自分の中にチェックポイントを持っているような人がいたらいいのですが、組織として、そういう人を育成する方法を見つけるなどということは、なかなかできないものです。

―― 資質なり、社会的な教育システムの問題になってきますよね。そこで思い出すのが、ちょうどローマ帝国のお話をいただいた時の、ローマ的な伝統が共和政を500年続かせたというところです。そういうものを社会的に涵養して、養い、高めていかないと、すなわちそういう「知恵」がないと、共和政も根づくものではないというところになってくると思います。


●敗戦を機に見過ごされてきたドイツの帝国性


―― そういう意味で...

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