独裁の世界史~ビスマルク編
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ビスマルク…ドイツの「鉄血宰相」のイメージは間違い?
独裁の世界史~ビスマルク編(1)ドイツ帝国の水先案内人
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
19世紀ヨーロッパを代表する政治家ビスマルク。しかし、その評価は「鉄血宰相」「誠実なる仲買人」「白色革命家」など、さまざまな異名に彩られ、真の姿が見えてこない。彼は果たしてドイツの独裁者だったのか。また、その政治外交術の粋とは。(全3話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分39秒
収録日:2020年1月10日
追加日:2021年1月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●ビスマルク登場とドイツ・プロイセンの発展


―― 「独裁の世界史」では、今度はぜひドイツのビスマルク(オットー・フォン・ビスマルク)のお話をうかがえればと思っています。

 テーマとしては「良い独裁・悪い独裁」のようなことになってくるのかと思います。歴史的経緯をいうと、まさにビスマルクが出てきたのが、フランス革命の後、ナポレオン戦争の結果を受けた形になろうかと思うのです。ドイツはそれまで、まだ神聖ローマ帝国があったのが、ナポレオン戦争で完全に消滅してしまいます。

 その後、ドイツという国ができてくる過程で活躍したのがビスマルクということになりますね。このビスマルクという人が果たした歴史的役割は、どういうかたちになりますでしょうか。

本村 今、ドイツとおっしゃったけれど、ドイツというよりプロイセンを考えてください。われわれが今ドイツと呼んでいる場所にオーストリアも加えたぐらいの大きな範囲に、ドイツ語圏があります。その中にさまざまな領邦国家がありましたが、プロイセンがそれらの主導権を握ろうとします。また、ビスマルクの時代というか、彼の仕えたヴィルヘルム1世の時代にプロイセン王国が強大になり、ドイツ帝国が生まれるということが起こってくるわけです。

 一方、ナポレオンから数えると甥っ子に当たるナポレオン3世がフランス王として君臨し、帝政の時代を迎えていました。彼は彼なりにフランスを帝政の下で引っ張っていましたが、それに対抗する形でのし上がってくるのがプロイセンです。やがて、1870年にこの両者の戦いが起こり、プロイセン軍が勝利を収めることが、その後のドイツ帝国成立の大きなきっかけになるわけです。


●「鉄血宰相」のイメージは、左傾化した日本の名残?


本村 ビスマルクという人は、私などが若い頃に聞いた歴史の話では「鉄血宰相」のイメージが強かったものです。非常に強硬で、いろいろなものを弾圧して抑え込み、それでプロイセンがのし上がっていったようなイメージで捉えられていました。その一つの理由に、おそらく日本の戦後が非常に社会主義かぶれした時期を経験したことがあります。社会主義者や共産主義者を抑え込んで弾圧したビスマルクに対して、そういうイメージが強かったのではないかと思います。

 最近の歴史学では、史料の読み込みが進んでいますので、ビスマルクにはそういう強硬な面もあ...

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