性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
SRY遺伝子とは何か?哺乳類の性決定の仕組み
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(2)哺乳類の性分化
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
雌雄同体や性転換を行う生物がいる一方で、ヒトを含む哺乳類の性は、一度決まると自然に変わることはない。遺伝子によって雌と雄が決まる際に、性決定のキーになるのがY染色体上にある「SRY遺伝子」の働きである。いったいどのような仕組みなのか。(全4話中第2話)
時間:9分23秒
収録日:2021年6月21日
追加日:2021年8月17日
≪全文≫

●専門の雄と専門の雌の作り方には二通りある


 さて性が、雄は雄、雌は雌に固定されているものでも、専門の雄と専門の雌の作り方には二通りあります。

 一つは環境決定です。ワニやカメは、卵が孵化する温度が高いと雌になったり、その温度が低いと雄になったりと、環境の温度によって性別が決まります。これはずいぶん不安定で怖いと私は思ってしまいます。「たまたま暖かいところに行って、みんな雌になったり、(あるいはその逆で)みんな雄になったりしたらどうするの?」と思いますが、いろいろな温度差があって、全体としてはうまくいっているようです。

 一方、そうではないものに「性染色体」があります。XかYか、ZかWかなどいろいろありますが、性染色体の組み合わせによって雄になるか雌になるかが決まる動物は結構多いのです。多くの昆虫がそうです。

 鳥は、(性染色体)ZZが雄で、ZWが雌です。哺乳類は逆に、XXで同じ染色体があると雌で、XYだと雄になります。

 進化生物学者はどうしてこれが進化するのかを研究します。性はすごく大事なので、どの生物も全てXXとXYというようにスパっと決まっていると思っていました。しかし、実際には全くそうではなく、例えば「メダカなら、この性染色体」というように、どの生物がどのように性染色体が決まって、どのように成長するのかは、全て同じではありません。

 このように、性決定は本来進化的にすごく複雑な話で、今の生物学では、単純には説明できないことが分かってきました。

 ここまでの結論として、性はもともと繁殖の手段ではなく、自分の遺伝子を変えて多様性を創出する手段として進化したということです。

 子孫の遺伝子に多様性を持たせることを目的とする、つまり自分自身を変えるのではなくて、子孫の遺伝子を違うものにするために、繁殖と性がどこかで結びついたのです。そして、栄養がある卵と、栄養がない精子に分化しました。さらに、はじめから自分は卵しか作らない雌と、精子しか作らない雄という個体が生じたのです。

 しかし、はじめから雄か雌か決めてしまうかどうかは、今言ったように性転換などいろいろあるので単純なことではありません。


●哺乳類の基本構造は雌である


 その中でも...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之

人気の講義ランキングTOP10
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
インフレの行方…歴史から将来を予測する(3)戦後の日本経済と海外のインフレ率
オイルショック、バブル…過去と現在の環境の共通点は?
養田功一郎
高市政権の進むべき道…可能性と課題(2)財政戦略3つの問題点
高市政権の財政政策の課題は…ポピュリズム政策をどうする?
島田晴雄
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(2)吉田昌郎所長の機転と決断
なぜ部下たちは「吉田昌郎所長となら死ねる」と語ったのか
門田隆将
こどもと学ぶ戦争と平和(3)「小さな外交官」と少年兵の問題
外国が攻めてきたらどうすればいい?戦争と少年兵の問題
小原雅博
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
これからの社会・経済の構造変化(3)新しいファミリーガバナンスの時代
なぜいまファミリー企業への注目が世界的に高まっているか
柳川範之