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日本競馬のレベルの高さを示すためにも、勝つしかない

世界最高峰の競馬・凱旋門賞2021(3)日本競馬は最高レベル

本村凌二
東京大学名誉教授/文学博士
概要・テキスト
ヨーロッパの競馬場は美しく、とても雰囲気がある。しかし競馬ファンの熱心さや詳しさでは、日本が上回るという。なんと、その大きな一因になっているのが、日本の競馬新聞の驚愕すべき情報術だというのだ。また、世界のトップレベルで争っている日本の野球やサッカーと比べても、日本競馬の世界的レベルは、いまやむしろ上ではないかという。アメリカとヨーロッパの競馬の違いにも触れたうえで、日本馬が勝つための道筋を考えていく。(全3話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11:33
収録日:2021/09/08
追加日:2021/10/21
カテゴリー:
≪全文≫

●日本の競馬新聞の驚くべき情報術を欧州に教えてあげたい


本村 なんだかんだといっても、日本は観客は多いですけれども、ビッグレースの雰囲気になると、なんとなくね……。

 日本などはビッグレースになると10万人近く入るわけです。このあいだのロンシャン競馬場は、朝方ずっと雨が降っていたせいもありますが、結局、3万人くらいしか入っていなかったといわれています。あそこはだいたい5万人くらい入ると目一杯になってしまう、窮屈になってしまうくらいなのですけれども。

 だけどやっぱり、情景や芝のきれいさですとか、そういうものはヨーロッパは、アスコット競馬場もそうですが、ニューマーケット競馬場だって、それから世界でいちばん美しい競馬場といわれるグッドウッド競馬場というのがありましてね、夏の開催で、グロリアス・グッドウッドという(レースが行なわれる)。BBCのニュースでも、「今週はグロリアス・グッドウッドが始まります」なんてことが平気でいわれるような。

 だから馬券の売り上げはともかくとして、常識として、エプソムダービーとか、グロリアス・グッドウッド、ロイヤルアスコットなんかも有名ですけれども、ああいうことは、みんながBBCのニュースでもさっと流すくらい、普通に知っているわけですよね。

―― やはり風物詩になっている。

本村 そうですよね。

―― ヨーロッパの雰囲気が良いというのは、周りの景色も含めた部分ですか。それともお客さんを含めた部分もあるのですか。

本村 お客さんはどうも、日本の競馬ファンは馬の名前をきちんといっているけれども、あそこ(ヨーロッパ)で馬の名前は聞いたことがない。番号ばっかり言っているような気がするのだけれども。どれくらい競馬ファンが、本当の競馬ファンが来ているかどうかというね。

 とにかく、いま(日本の)ダービーだとか有馬記念になると、もう天気が良ければ10万人を軽く超えるくらい入りますから。ダービーなどは、12~13万人くらい入るのではないでしょうか。みんな熱心にやっているし、それから詳しいです。

 なぜ、日本で競馬が盛んになったか。つまり、競馬新聞というのは、こんな小さなマスに、ものすごい情報が入っているわけですよ。あれがヨーロッパで新聞を見ると、1レースを検討するのに、こんなあちらこちらをひっくり返して、面倒くさいことをやらなければいけないわけ...
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