世界最高峰の競馬・凱旋門賞2021
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クロノジェネシスとディープボンドはなぜ?…勝つ条件とは
世界最高峰の競馬・凱旋門賞2021(1)日本馬がなぜ勝てないか
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
『馬の世界史』(講談社現代新書/中公文庫)でJRA賞馬事文化賞を受賞するなど、熱心な競馬ファンとして知られる本村凌二氏は、伝統を誇るヨーロッパ最大の競馬・凱旋門賞(パリロンシャン競馬場)に幾度も足を運んでいる。その本村氏の目に、2021年の凱旋門賞はどのように映ったか。また、そこから見えてくるものは何か。まず注目するのは、日本馬が勝てない要素として大きな競馬場の「馬場」の問題である。ヨーロッパの競馬場の「良馬場」は日本の競馬場の「重馬場」だというのだ。はたして、その違いにはどのような背景があるのか? そして日本馬が勝つ条件とは?(全3話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分23秒
収録日:2021年9月8日
追加日:2021年10月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●最初に現地でみた凱旋門賞が「伝説の1986年」だった


―― 皆さまこんにちは。本日は、2021年10月3日に、フランスのパリロンシャン競馬場で行なわれました第100回の「凱旋門賞」につきまして、本村先生にお話をうかがいたいと思います。本村先生、どうぞよろしくお願いします。

本村 はい、どうも。

―― 本村先生は『馬の世界史』でJRA賞馬事文化賞を受賞されていますが、これまで凱旋門賞にも、かなりお運びになられたということですね。

本村 そうですね。12~13回は行っていると思いますけれども。最初の凱旋門賞が、「伝説の凱旋門賞」といわれている1986年のダンシングブレーヴが勝ったシーンを目の前で見ています。それはもう本当に、その年のヨーロッパの最強馬が全部故障もなく集まって、そのなかで、ダンシングブレーヴが最後方から怒濤の追い込みで勝ってしまったという、いまでも12番の彼のゼッケンが鮮やかに残っておりますけれども。それから十数回、見る機会がありました。

 振り返って考えてみると、私が競馬を始めたのが、1970年代の初めでしたけれども、その頃は、まだ、われわれがヨーロッパに行くというのは(あまりなくて)、一生のうち一度くらいは凱旋門賞を見てみたいなと思っていたくらいです。

 1980年代になってから、だんだん外国に行けるようになりました。ただ、その頃は、日本も1980年代になって「ジャパンカップ」というレースが、外国の馬をたくさん招待して競わせるというのでやったのですが、最初の何回かはコテンパンにやられるわけですよ。

―― 外国から来た馬にですね。

本村 そうです。日本は最強馬が出走しているのに、向こうからは一流とはいえないクラスが来ても簡単にやられてしまう。だから日本馬が、ジャパンカップですら勝つのは21世紀までかかるのではないかと思ったら、意外とそうではなかったのですけれどもね。最初の10年くらいは、かなり外国の馬が勝っていました。

 そういうことがあって、およそレベルが違ったわけです。だから日本の馬が、凱旋門賞にも出るようになりましたが、「勝負ができるなあ」というのは1999年から2000年くらいに、エルコンドルパサーという馬が出まして、これが2着になったのです。それもかなりきわどい2着で、しかも勝った馬が、近年まれに見るほど強いといわれていたモンジューという馬が出てきて、彼には負けましたけ...

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