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罠に落ちぬために…不動産投資で注意すべき具体的ポイント

不動産投資の危険な罠(2)なぜ落とし穴に墜ちてしまうか

河合弘之
さくら共同法律事務所 所長・弁護士/映画監督
情報・テキスト
不動産投資をする人の中には、将来のお金の不安を解消するために投資を考える人も多い。「スルガ銀行シェアハウス事件」のような投資話に引っかからないためには、どういった点に気をつけるべきなのか。不動産投資をする際に注意すべきポイントについて解説する。(全2話中第2話)
時間:10:31
収録日:2021/10/15
追加日:2021/12/09
≪全文≫

●まず現場・現物の事前見分を行うこと


 そういう事件を通して、私はサラリーマンの人たち、もしくは中小企業の経営者の人たちがする不動産投資は危ういなと思いました。

 皆さんの中でも、自分の給料もなかなか思うようには上がらなくて、老後にも不安がある人がいると思います。あるいは、子どもの教育費がこれからたくさんかかる、年金で十分ということにはなりそうにない、退職金がいくら貰えるかも分からないといった悩みを持つ人もいるかもしれません。そういったことから、不動産投資でも一つやっておくかと考える人が多いと思います。私は、そう簡単に安易な気持ちでやると罠に引っかかりますということを今日申し上げたいと思います。

 不動産投資をするなら、まず一つは現場・現物の事前見分を必ずやってください。見分すれば、交通の便や立地の良し悪し、それからマンションの傷み具合といったものもきちんと実感できます。現物を見ると、夢から覚めるのです。不動産投資をする場合に、交通の便と立地は非常に大事です。交通の便が悪いところは、どんなに立派な建物が建っていてもなかなかテナントが付かないので、交通の便は非常に重要です。実際に電車に乗って、その現場に行くことが大事です。

 交通の便がたとえ良くても、騒音が大きいような場所、全く日当たりがないような場所にあって、テナントが嫌がって付かないと思われる場所もダメです。そして、そういうことは現場に行ってみないと分かりません。現場を見ると、意外と汚かったり、手入れが悪かったり、周りの町の雰囲気が悪かったり、いろいろなことが分かります。よく見ると実態を実感できるので、「これはちょっとやめておこうかな」となります。そういう見分をやっておく必要があります。

 ところが、シェアハウス事件を見るとほとんどの人が現場を見ていません。1億5000万円の物件を買うのに現物を見ないなんて、皆さんは信じられますか。実際に、7~8割の人が現物を見ていないのです。なぜかというと、この悪質不動産会社が、「うちがサブリースで一括借り上げしてあげますよ。だからもう現物を見なくても、毎月100万円入るから安心でしょう。例えば元利の返済は毎月75万円だから、毎月25万はあなたの手残りです」と甘いことを言っていたからです。そうすると、買う人からすれば、不動産を買うのではなくて、金融商品を買うような気分になってしまいます。

 現物が良かろうと悪かろうと、とにかくサブリース会社が毎月100万円払ってくれるのだからそれで良いと思って現物を見ずに安易な買い物をする。いわばガセネタをつかまされることになるのです。


●自分で管理は無理。重要なのはサブリース会社の選択


 それから、不動産投資をする場合、アパートにせよ、マンションにせよ、自分で管理するのはほとんど無理です。テナントをきちんと募集したり、家賃をきちんと回収するのも大変です。また、どこかに故障が起きたときにすぐ修理したり、外壁の傷みなど、いろいろと修繕するのも大変です。こんなことはサラリーマンをやりながらはできません。そうすると、それはサブリース、別の言葉でいうと一括借り上げシステムを採用するしかありません。

 結局、多くの不動産投資の場合、サブリースシステムです。サブリースで、店子がどれくらい入ろうと、家賃の不払いがあろうと、そういうリスクはサブリース会社が負ってくれて、毎月定額をサブリース会社が払ってくれるということです。そうなると、どういうサブリース会社を選択するかが非常に重要になります。そのサブリース会社が悪質だと、本当に酷い目に遭います。世の中で起きている不動産投資に関するトラブルは、ほとんどの場合、悪質サブリース業者が起こすものです。

 では、サブリース会社をどう判断したら良いのでしょうか。第一に、その会社の歴史が長いかどうかです。30年あるいは40年やっているかどうかがまず大事です。どんなに立派なビルを借りている不動産会社でも、1、2年しかたっていないようなところは信用できません。実際にスマートデイズも立派な社屋を都心に借りていました。私も現場に行きましたが、見栄ばかり張っていて怪しいと思っていたら、やはり怪しいところでした。

 歴史もそうですが、ただ古いだけではだめです。サブリースについて実績があるか、ちゃんとした大きな規模で長くやっているか、評判はどうか、会社の財務状況はどうか、サブリース手数料はどれくらいかを確認する必要があります。例えば、実際の家賃が各テナントから合計100万円入ってくるときに、サブリース料は90万、あるいは80万円だったりします。それが適切な手数料なのかどうかを判断しなければいけません。

 ですから皆さんが不動産投資するときは、くれぐれ...
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