衆院選後の安倍政権を読む~「14年体制」誕生の可能性と課題
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
中選挙区制だった時代、日本に良き草の根民主主義があった
衆院選後の安倍政権を読む~「14年体制」誕生の可能性と課題(2)一党体制「55年体制」との大きな差異
ジェラルド・カーティス(政治学者/コロンビア大学名誉教授)
長年日本の民主主義を愛し見守ってきたジェラルド・カーティス氏が、瀕死の日本民主主義に説く処方箋。55年体制に学ぶべきこと、野党・マスコミがなすべきこと、すなわち、国民と政治家が取り戻すべき「民主主義」の本来とは。(後編)
時間:19分33秒
収録日:2014年12月18日
追加日:2014年12月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●55年体制当時の自民党は、生き生きとして強かった


 自民党が勝って、野党は全く駄目で、当分、自民党が割れない限り、今の自民党政権が倒れて野党がまた政権を取るということは、非常に考えにくいです。一党支配がかなり長く続くと思います。一党支配といえば、やはり1955年につくられた自民党と社会党の体制、その後38年間にわたる自民党一党支配の歴史です。これを「55年体制」といいますが、今その55年体制に戻っていると、最近言われます。小沢一郎さんも、昨日そんなことを言いましたし、政治評論家や学者にも、そう言う人が結構います。

 しかし僕は、55年体制に戻っているのではないと思います。これは下手をしたら、新しい「2014年」の体制が生まれた可能性がある。僕は最近、そのように考えています。

 これは、数年を経てみないと分かりません。55年体制もそうでした。最初に「55年体制」という言葉が使われた時は、自民党と社会党の二大政党制を意味する「55年体制」でした。あの頃は、社会党の議席が少しずつ増えていました。そして、あれは確か石田博英さんが1960年頃に中央公論に有名な論文を書いたのです。彼が言ったのは、いろいろな統計を出して、「このままでいけば1968年か9年頃に社会党は政権をとる」ということでした。それが55年体制です。しかし、10年、20年経ってから、「いや、55年体制というのは一党支配の体制だったのだ」と言われるようになりました。

 「2014年体制」が55年体制と似ているのは、一党支配という点です。しかし、それ以外は全然違います。一つ目の違いは、55年体制は、自民党の中に対立構造がありました。競争しあう、緊張感のある構造的なものがあったのです。いくつかの派閥が主流派を組み、他の派閥が反主流を組んで、その中には非主流派もいて、政権が行き詰まると党内で政権交代のようなことが起こり、たえず緊張感がある。平気で自党の総理大臣を批判したり、政策論争もしたり、パワーポリティクスもしたりという、それが自民党でした。それはもう、生き生きしていました。

 二つ目の違いは、官邸に対して、党が強かったことです。議会に法案を出す前に、総務会が承認しないと出せませんでした。党が非常に強くて、党と官邸の緊張感がある。それが55年体制の一つの特徴でした。

 今の自民党を見ていると、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(2)「時代の大転換期の選挙」特集を解説!
「大転換期の選挙」の前に見ておきたい名講義を一挙紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(8)要求の分類と価値の提供
新規顧客を増やす作戦と顧客リレーションを高める方法
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一