衆院選後の安倍政権を読む~「14年体制」誕生の可能性と課題
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
83%が憲法改正に賛成という驚くべきアンケート結果
衆院選後の安倍政権を読む~「14年体制」誕生の可能性と課題(1)首相が目指しているのは「憲法改正」
ジェラルド・カーティス(政治学者/コロンビア大学名誉教授)
民主党を中心とした野党が弱体化する中、安倍総理は政局の選挙を成功させ、政権運営を強固なものにした。これを受けて、2015年以降の国内・国際政治はどう動くのか? 選挙総括から、TPPや憲法改正の見通しまでを一気通貫する。(前編)
時間:16分38秒
収録日:2014年12月18日
追加日:2014年12月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●安倍総理が選挙を急いだ「三つの理由」


 今回、僕は9月の末に日本に来ましたので、かれこれ3カ月になりますが、来日した時、年内に解散があるとは夢にも思わなかったし、あり得ないと思っていました。しかし、いま振り返ってみると、なるほど、ああ、こういうことで安倍晋三総理は選挙をすることに決めたのだなと分かります。ただ、今になってみれば分かることですが、全くのサプライズでした。

 しかし、やはり、いつかは選挙をしなければなりません。では、いつできるか。年内にするか、来年の自民党総裁選挙の直前にするか、あるいは、2016年夏の参議院任期満了に合わせて衆参同日選挙にするか、というところです。そうだとすると早い方がいいというのは、おそらく三つの理由があったと思います。

 一つは、野党、特に民主党の選挙準備が全くできていなかった。ですから結局、295の小選挙区で、178人しか候補を擁立できませんでした。僕は、ますます民主党に対して批判したい気持ちが強まっています。それは、前回の選挙が終わってもう2年も経っているのに、国民にきちんと謝ってもいないことです。あんなに大きな期待があったにもかかわらず、政権運営が全然駄目だった。そして、選挙でぼろ負けをした。なぜ負けたのか、どこが悪かったのか、今度政権をとるチャンスがあったら、何をどう違うやり方でするのか。そういったことを、まず自分で反省しない。そして国民に謝罪して、民主党はこれからこのように生まれ変わるということを一切言わない。それで、まだ選挙にならないから、別に準備をしなくてもいい。こういう政党はいけない。無責任という言葉では足りないぐらい、問題が多い政党だと僕は思います。

 民主主義とは、民主主義政治とは、やはり与党も野党もないと駄目なのです。与党ばかりの民主主義はないのです。ただ、今の日本はそういう危険があります。

 安倍総理が、野党が全く準備不足な今、選挙をやってしまう方が得策だと考えるのは、その通りだと思います。

 二つ目は、「来年のことを言うと鬼が笑う」と言いますが、2015年の経済が本当に良くなるのか、もっと悪くなるのか、分からない。また、集団的自衛権、原発再稼働など、いろいろなコントロバーシャル(物議を醸している)というか、国民の意見が割れている問題を取り上げなければなりません。ですから、その前に選挙...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ