楽しく未来を生き抜く「戦略子育て」を学ぶ
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
学力は関係ない!子どもの将来の幸福にとって重要なこと
楽しく未来を生き抜く「戦略子育て」を学ぶ(2)「3つの力」の伸ばし方(後編)
三谷宏治(KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授)
子育てはいつ、何をもって成功、あるいは失敗といえるのか。非常に難しい問いだが、では何がカギとなるのか。実は子どもたちの「幸せ」について成長ごとに追い続けた海外の調査があり、そこで分かったのは「社会的つながり」と「言語能力」が重要だということだ。ともに過ごす時間が長い親子は、それがゆえにきちんとした会話が疎かになりがちだ。家庭でのコミュニケーションが不足すれば、それはのちに子どもの社会性にも影響を及ぼし得る。“話し方が変わると行動が変わる”ということで、今回は三谷宏治氏が実践する「脱ワンワード」の取り組みから、親子のコミュニケーションを豊かにする方法を学ぶ。(全2話中第2話)
時間:19分36秒
収録日:2023年10月6日
追加日:2024年2月21日
≪全文≫

●人材の質を左右し得る「お手伝いの経験」


 少し前提となることをお話しすると、子育ては成功とか失敗が非常に難しいのです。何年後を測るのでしょうか。死ぬまでの合計なのでしょうか、累計なのでしょうか。

 もし失敗というものをいくつか定義するとすれば、まずは法を破る、非行です。法を破った少年少女のことを「非行少年」と呼びます。(少年が)非行に走ったとき、昔は、その親たちに国家はアンケートを取っていたらしいのです。鑑別所という少年少女が入れられているところに来た親に対して、「あなたはどんな親ですか」というようなアンケートを取っていたのです。最近はさすがに取っていないらしいのですけれど。

 昔は放任です。放任というのは本当に何もしないのです。下手すると食事も与えません。今でいうと育児放棄に近いでしょうか。放任的な親の下で非行、でも、その後は過保護です。過保護と過干渉は逆です。過保護は全てに対して認めることです。金が欲しいといわれれば与え、全部本人が求めることを与えることです。それが過保護です。

 そして、今は過干渉だそうです。これはそういう意味では過保護と逆なのです。全て認めるのではなくて、全てに対して干渉します。こうしたほうがいい、ああしたほうがいい。けがなど絶対させない。絶対非行に走らせない。そういったことで、全てに干渉し、そして子どもは自分で考える力を失っていきます。だから、いわゆるリーダー的なものに引きずられて、非行に走るのです。だから、今は非行のサイズがどんどん大きくなっています。そうやって引きずられる人たちが増えているからです。クラス全体でのいじめのようなことは、こういう過干渉の親が増えたがゆえだと考えられています。

 もう1つがNEET(ニート)かもしれません。“Not in Education, Employment or Training”、働きも勉強もトレーニングもしていない状態の若者たちのことを基本的には「NEET」と呼ぶでしょう。

 こういう状態と大学偏差値がほぼ関係がないというようなことも分かっています。でも、関係があることも分かっていて、それはネット系かリアル系かということもけっこう大きく関わっています。ネット系はネット系でいいと思うかもしれません。でも、就職という中で大きく考えると、日本の中に残っている就職はほぼサービス業です。そし...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建