2050年のための「前向きの愛国心」
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
国産エネルギー産業を立ち上げ40兆円の経済効果を実現する
2050年のための「前向きの愛国心」(3)再エネのポテンシャル
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
太陽光発電、風力発電、地熱、水力、バイオマスという再エネが持つポテンシャルは、現在の全発電量の7倍ほどと予測される。すなわち3割程度の実現をもって現在の発電量の倍が供給できるのだ。2050年の脱炭素は実現可能となり、エネルギー輸入分の自給によって、地方に高い経済効果がもたらされていく。(全3話中第3話)
時間:11分26秒
収録日:2024年6月5日
追加日:2024年9月21日
≪全文≫

●専門機関の2030年予測を上回る効果


 では、2030年にはだいたいどのようになっているか。IEA(International Energy Agency)という、エネルギーでは一番信頼されている保守的な組織の予測したデータを見てみましょう。まず2023年(去年)時点で、2030年にはどうなっていると予測したかというと、およそ半分ぐらいが再エネになっている。太陽光、風力、水力。全電源の発電量において、だいたい半分ぐらいは再エネになっているというのが今のIEAの予測です。

 ところが、その予測は毎年2パーセントずつ上がっています。要するにIEAは加速を予測できていないわけですが、普通に考えれば、来年ここで止まるとは思えないでしょう。来年もまた予測は2パーセント上がります。そうなると、私の予測では2030年にはだいたい65パーセントぐらいの電力が再エネになっている。それに、おそらく10パーセントぐらいは原子力が残っているでしょうから、非化石の割合はすでに電力の75パーセントぐらいになっているはずです。

 そうなると、2030年頃の皆さんは「2050年には、脱炭素ができるのではないか」と考えるだろうと、私は思います。しかも、(今年の気温では)東京が40度という予測が出ています。それは出るのが当然で、「今年の夏は、去年より暑くなりそうだ」と天気予報でいっていましたが、それが毎年進んでいくはずです。それが温暖化ということですから。

 それが結局どう跳ね返るかというと、炭素が非常に高くなるということです。それが課徴金という形になるのか、現場の炭素税という形になるのかは分かりません。しかし、何らかの形でコストが非常に高くなるということです。それに備えなくてはならないわけです。


●2050年に現在の2~4倍の電気が必要な理由


 太陽光発電、風力発電、地熱、水力、バイオマスというのが量的に意味のありそうな再エネの全てです。ですから、(イニシアティブでは)それらの評価をいろいろやっています。

 ポテンシャルからいうと、太陽光発電だけでも現在の発電量の3倍ぐらい。それから洋上の風力その他いろいろを考えあわせると、再エネ全体で現在発電している全発電量の7倍ぐらいのものがあります。このうち30パーセントをやりましょうという話です。30パーセントやれば、今の総発電量の2倍が取...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二