●専門機関の2030年予測を上回る効果
では、2030年にはだいたいどのようになっているか。IEA(International Energy Agency)という、エネルギーでは一番信頼されている保守的な組織の予測したデータを見てみましょう。まず2023年(去年)時点で、2030年にはどうなっていると予測したかというと、およそ半分ぐらいが再エネになっている。太陽光、風力、水力。全電源の発電量において、だいたい半分ぐらいは再エネになっているというのが今のIEAの予測です。
ところが、その予測は毎年2パーセントずつ上がっています。要するにIEAは加速を予測できていないわけですが、普通に考えれば、来年ここで止まるとは思えないでしょう。来年もまた予測は2パーセント上がります。そうなると、私の予測では2030年にはだいたい65パーセントぐらいの電力が再エネになっている。それに、おそらく10パーセントぐらいは原子力が残っているでしょうから、非化石の割合はすでに電力の75パーセントぐらいになっているはずです。
そうなると、2030年頃の皆さんは「2050年には、脱炭素ができるのではないか」と考えるだろうと、私は思います。しかも、(今年の気温では)東京が40度という予測が出ています。それは出るのが当然で、「今年の夏は、去年より暑くなりそうだ」と天気予報でいっていましたが、それが毎年進んでいくはずです。それが温暖化ということですから。
それが結局どう跳ね返るかというと、炭素が非常に高くなるということです。それが課徴金という形になるのか、現場の炭素税という形になるのかは分かりません。しかし、何らかの形でコストが非常に高くなるということです。それに備えなくてはならないわけです。
●2050年に現在の2~4倍の電気が必要な理由
太陽光発電、風力発電、地熱、水力、バイオマスというのが量的に意味のありそうな再エネの全てです。ですから、(イニシアティブでは)それらの評価をいろいろやっています。
ポテンシャルからいうと、太陽光発電だけでも現在の発電量の3倍ぐらい。それから洋上の風力その他いろいろを考えあわせると、再エネ全体で現在発電している全発電量の7倍ぐらいのものがあります。このうち30パーセントをやりましょうという話です。30パーセントやれば、今の総発電量の2倍が取...