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知らないうちに成功している社会と生きるのがしんどい社会

米国論(2)国家にとって一番重要なのは中流

概要・テキスト
ハートランドの人たちの考えは「自由を守るためには銃で武装する」で、これは合衆国憲法に忠実な考えでもある。「アメリカドリーム」という言葉があるように、南北戦争後のアメリカは富をずっと集積してきた。そのため才能や運に恵まれた人は大金を稼げるが、9割ほどの普通の人には厳しい社会になっている。国家にとって大事なのは中流で、日本はそれをうまくやってきた。日本は「失われた30年」といわれるが、そのおかげで、世界で一番住みやすい国になったのではないか。一方、アメリカは、プアホワイトたちが被害者意識を持ち始めているという。今、白人が苦しめられていることの証左ともなっている。(全8話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:09:49
収録日:2024/10/22
追加日:2025/01/03
カテゴリー:
≪全文≫

●良心は今、崩れてしまった


―― アメリカにいると「絶対に金を稼がなきゃいけない」と思うのです。

執行 生きられない。

―― (そうしないと)住宅も危ないところにしか住めない。

執行 大谷(翔平選手)が大騒ぎでしたからね、家(の場所)をバラされて。それだけ危険ということですね。

―― そうです。ものすごいリスクです。

執行 有名人は。

―― 金持ちになると、ほとんどがゲートのある家に住むのです。住宅街全体が全部囲まれていて、ガードマンが必ずいて、見回りが入っている。3重ロックとか4重ロックになっていないと、ある程度のお金持ちは危険なのです。

執行 そこまで行っているのですか。

 聞きたかったのですが、ハートランドはキリスト教福音派の牙城でした。したがってアメリカの良心、アメリカの心です。あそこが現状、崩れているのかどうか。

―― それはもう、めちゃくちゃ崩れています。

執行 もうダメだと。

―― めちゃくちゃ崩れていますし、彼らはある種、合衆国憲法に忠実なのです。「政府から自分たちの自由を守るためには、銃で武装しないといけない」と。

執行 これは独立戦争のときから、アメリカのアメリカたるいわれです。

―― かつマッチョです。「最後は腕で勝負をつけろ」と。

執行 それでアメリカは成功した。そこがアメリカの一番の魅力で、だから銃規制はアメリカがアメリカの心を失うことを意味します。

―― そうです。それをそのままやっているのです。

執行 ハートランドは、まだやっているわけですね。

―― 「アメリカンドリーム」という言葉があるように、南北戦争のあとアメリカはずっと成長してきました。ずっと成長してきたので、富の集積がすごく効いているわけです。

執行 でも現状を聞いていると、もう飽和状態で崩壊です。

―― そうですね。上の人たち、大谷みたいな人は日本でプロ野球をやっているよりも、向こうに行ったほうが(その何倍も)楽勝で稼げます。(そうした)万分の一ぐらいの人にとっては、アメリカは自分の才能と運を金に換えられる、唯一で最高の場所だと思います。

執行 今でもそうですか。

―― 今でもそうです。イノベーション(革新)は、そういう優秀な人にとってはウェルカムです。どんなことがあろうと能力の高くスター性のある人にとっては、アメリカ以外の空間はないのです。け...
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