●良心は今、崩れてしまった
―― アメリカにいると「絶対に金を稼がなきゃいけない」と思うのです。
執行 生きられない。
―― (そうしないと)住宅も危ないところにしか住めない。
執行 大谷(翔平選手)が大騒ぎでしたからね、家(の場所)をバラされて。それだけ危険ということですね。
―― そうです。ものすごいリスクです。
執行 有名人は。
―― 金持ちになると、ほとんどがゲートのある家に住むのです。住宅街全体が全部囲まれていて、ガードマンが必ずいて、見回りが入っている。3重ロックとか4重ロックになっていないと、ある程度のお金持ちは危険なのです。
執行 そこまで行っているのですか。
聞きたかったのですが、ハートランドはキリスト教福音派の牙城でした。したがってアメリカの良心、アメリカの心です。あそこが現状、崩れているのかどうか。
―― それはもう、めちゃくちゃ崩れています。
執行 もうダメだと。
―― めちゃくちゃ崩れていますし、彼らはある種、合衆国憲法に忠実なのです。「政府から自分たちの自由を守るためには、銃で武装しないといけない」と。
執行 これは独立戦争のときから、アメリカのアメリカたるいわれです。
―― かつマッチョです。「最後は腕で勝負をつけろ」と。
執行 それでアメリカは成功した。そこがアメリカの一番の魅力で、だから銃規制はアメリカがアメリカの心を失うことを意味します。
―― そうです。それをそのままやっているのです。
執行 ハートランドは、まだやっているわけですね。
―― 「アメリカンドリーム」という言葉があるように、南北戦争のあとアメリカはずっと成長してきました。ずっと成長してきたので、富の集積がすごく効いているわけです。
執行 でも現状を聞いていると、もう飽和状態で崩壊です。
―― そうですね。上の人たち、大谷みたいな人は日本でプロ野球をやっているよりも、向こうに行ったほうが(その何倍も)楽勝で稼げます。(そうした)万分の一ぐらいの人にとっては、アメリカは自分の才能と運を金に換えられる、唯一で最高の場所だと思います。
執行 今でもそうですか。
―― 今でもそうです。イノベーション(革新)は、そういう優秀な人にとってはウェルカムです。どんなことがあろうと能力の高くスター性のある人にとっては、アメリカ以外の空間はないのです。け...