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踏んではならない虎の尾を踏んでしまう日本という病

米国論(6)南北戦争の頃と似ている分断状態

概要・テキスト
今のアメリカの分断状態は、南北戦争の頃と似ている。ただし南北戦争が自由貿易と保護貿易の対立だったのに対し、今は「自己責任」「富の分配」など、立場やメディアなどで全く違う主張をするようになっている。1960年代までのアメリカは、誰もがアメリカンドリームを信じている一体感があったが、今はそれもなくなり、正しくも強くもないアメリカになっている。一方で日本は、アメリカ人の魂ともいえるUSスチール買収のように、相手の虎の尾を踏むようなことを平気でやろうとする。根本的な歴史や経営思想への理解が薄い日本は、むしろ強力なトップがいないほうが幸せな国とも言える。(全8話中第6話)
時間:10:37
収録日:2024/10/22
追加日:2025/01/31
カテゴリー:
≪全文≫

●アメリカは強くも正しくもない国になった


執行 CNNなどメディアでよく「アメリカは今、完全な分断状態」と言われています。あれはどうですか。

―― 見ているメディア、テレビによって違います。FOXを見ているか、CNNを見ているか、ABCを見ているかで全然違う。言っていることも違います。流れてくるメディアも(違う)。

執行 神藏さんの目で見てどうですか、分断状態は。

―― 分断状態はかなりはっきりしています。

執行 歴史で比較すると、南北戦争の頃と比べてどうですか。

―― 似たようなものだと思います。

執行 似ている?

―― 南北戦争前夜だと思います。

執行 南北戦争は、奴隷解放(をめぐる戦い)などと言われていますが、全く違います。現実は、北の自由貿易と南の保護貿易の対立です。

―― 利権構造ですね。

執行 今ああいう構造になっているということですか。あのぐらい綺麗に二分して分かれているかなと。

―― そこまで綺麗に二分していませんが、明らかに主義主張が違います。先生が言われた、「多少は自己責任と思い、自分で富を稼ごう」と思うか、それとも「もっと配分をよこせ」と言うか。全然違う感じの人たちがアメリカの同時代、同じ空間にいて、それぞれ見ているニュースも違えば、見ているテレビも違う。話している仲間も全部違う。

執行 もうそういう状態?

―― 多分、生まれたときから噛み合わないかもしれない。生まれた場所も違う。行っている場所も違う。

執行 簡単にいえば、もう国家が分かれているということですね。

―― もう分かれていると思います。『シビル・ウォー』という映画が、(2024年)10月4日に封切られました。アメリカの13州、カリフォルニアやテキサスなどが独立して政府軍と戦う内容で、よくできているのです。

執行 では南北戦争のことをやっているのと同じ状態。

―― 同じ状態で、現代(版)です。

執行 噂ですが、テキサス、ルイジアナ、フロリダといったあたりが、アメリカから独立することはないでしょうが、アメリカと一線を置くといった動きがあるそうです。どうでしょう。

―― もともとアメリカは13州の時代から、それぞれの州が独立国家みたいなものです。それらが南北戦争のときに強引に統合して、ユナイテッド・ステイツになった。でも、もともとは、やはり……。

執行 ユナイテッド・ステイツとし...
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