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「全部が自己責任の国」はどう変わってしまったか

米国論(3)無限の夢は消えてしまった

概要・テキスト
日本は民度が極めて高い。長いスパンで見ると、日本で一番よかった時期は何もやらなかったときであると執行氏は言う。日本人は頑張ったときが一番悪く、その結果、大東亜戦争に至った。一方、アメリカは昔「さすがアメリカ」と思えるところがたくさんあったが、中産階級が素晴らしかったアメリカは、ほとんど残っていない。かつて世界中の人がアメリカで成功したいと考え、それが世界中から優秀な人を引きつける装置になっていたが、今はその部分が機能しなくなっている。(全8話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10:35
収録日:2024/10/22
追加日:2025/01/10
カテゴリー:
≪全文≫

●何もやらなかったときが一番いい


執行 話を聞いていると、日本のほうがずっといい、ということですね。

―― それはそうです。間違いないですね。

執行 最近、検証しようと思ってアメリカに詳しい方などに聞いていますが、教育や食べ物も含めて、先進国といわれる生活レベルができる国で、日本ほど物価が安くて住みやすい国はないと現状では言われています。

―― 日本の場合、すごくはっきりしているのは、普通の人たちの民度がめちゃくちゃ高いのです。日本でめちゃくちゃ低いのは、一つは大学のレベルです。入ったときが最高で、出るときは相当悪くなっています。

執行 それは昔からの日本の欠点です。

―― 高等教育機関はほとんどダメです。

執行 もう全然ダメ。

―― あと、明らかに失敗してきたのが財務省と経産省。もうエリート官僚は、みんなそうです。40年間、財政再建を唱えて、私が(松下)政経塾にいた1980年の頃は100兆円だった赤字国債が、今はどこまで行っているのかわからないくらいで十数倍になって(しまいました)。

執行 でも、100兆円ぐらいのときが一番騒いでいました。

―― そうですね。それで40年間引っ張り続けたのです。

執行 でも、長いスパンで日本が一番よかったときがいつかということを、歴史をずっと検証すると、鎖国のときも含めて、何もやらなかったときなのです。情けないと言えば情けないですが、日本人は頑張ったときが、歴史を見ると一番悪い。最近ひしひしと感じます。

 何もやらないのが、日本人の伝統的な考えとして、一番いいことではないかと最近思っています。この30年のアメリカやイギリスの現状を見ても、そう感じます。

 一番有名なのは、明治維新です。明治維新は血沸き肉躍る、誰でも好きな時代です。明治は、私も人情としては素晴らしいと思います。でも知ってのとおり、明治になってから日本は戦争だけです。

―― そうですね。日清・日露から始まって。

執行 最後の大東亜戦争に至るまで。でも、日本人が一番頑張ったときです。

―― 確かにそうですね。

執行 だから人情としては好きですが、日本人は頑張らないときのほうがいい。文化も文明的なものも、文学も含めて日本独自の民族の最高のものは全部、頑張らないときにできているのです。平安時代だって、そうです。

―― 『源氏物語』なんて、まさにそうです。

執...
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