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やる気のないあり方が、新しい世界を作る民主主義

米国論(7)根源的な行き詰まり

概要・テキスト
やる気がないほうがうまくいく日本――そうした日本のあり方が、これから新しい世界を作る民主主義なのではないか。アメリカの民主主義は議論で相手を負かし、戦うというもので、いわば古い民主主義である。かつて民主主義の根本だった自己責任が「金まみれの自己責任」に変わってしまったため、これに対する不満が特にプアホワイトの人たちのあいだでたまりにたまっている。アメリカで大事件を起こしているのも彼らである。(全8話中第7話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:09:39
収録日:2024/10/22
追加日:2025/02/07
カテゴリー:
≪全文≫

●やる気がない日本のあり方が「新しい民主主義」


執行 明治も冷静に考えたら、日本が外交下手だといえばそれで終わるけれど、日本人の真面目なエネルギーが爆発的に出て、結果的にはいい結果にはならなかったわけですから。

―― 焼け野原にされて…。

執行 そう。それでやる気がなくなって、やる気がなくなった戦後のほうが、日本人は幸福ですよ。

 戦後なぜ平和になったかというと、今でも「アメリカにやられた」とみんな恨んでいますが、じつは日本人のトップがいなくなったからです。

―― そうでしょうね。要らない人たちがいなくなったと。

執行 頑張った人たちです。「国体のためなら死ななきゃならない」といった人がいなくなった。

―― レッドパージ(公職追放)されたと。

執行 いろいろなところで公職追放になりました。すると平和になり、経済もよくなり、全てがよくなったのです。

―― おっしゃるとおりです。

執行 だから、悪い言葉で言えば、やる気がない。その辺を最近強く感じて、真の民主主義のあり方を今ずっと考えています。

 以前は民主主義について、アメリカ的な民主主義民主主義の根本と思っていました。「自由か、然らずんば死か」というもので、アメリカ独立戦争のときのパトリック・ヘンリーの言葉です。でもこれからの人類は違います。日本人のやる気のないあり方が、新しい世界を作る民主主義のような気がします。

―― なるほど。

執行 こういう理論を70代から構築していき、80代ぐらいにはこの理論を作り上げ、書物にしたいと思っています。

―― 面白いですね。

執行 やる気のないことが、真の民主主義を作る。今その出発として、アメリカ研究などをやっているのです。

―― 面白いですね。アメリカは議論して議論して、相手を言い負かして戦って戦って戦って、結果的にうまくいかなくなってしまったのですよね。

執行 でも、アメリカのそこが好きでした。私も個人ではわりとやる気があるので、やる気のある人が好きです。それは当たり前です。でも、アメリカといえば、やはり古い民主主義のリーダーです。

 私は、アメリカ民主主義はあらゆる面から古い民主主義だと思いだしています。そこで新しい民主主義を21世紀の終わりに向かって立ち上げなければいけない。これが、日本人がみんなけなしている、日本人のやる気のなさだと思うのです...
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