進化的人間考~ヒトの性質と異様な現代社会
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
時計とカレンダーが支配する現代社会とストレスの問題
進化的人間考~ヒトの性質と異様な現代社会(3)近未来の情報革命に対する提言
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
ヒトは本来の進化環境における基本的欲求を満たしながら、文明社会を形成してきた。産業革命によってヒトも社会も大きな変化を遂げ、この百年余りの社会ではカレンダーと時計がヒトを支配し、貨幣が全てに介在するようになった。また、昨今の情報革命とエネルギー革命はヒトと社会にさらに大きな変化をもたらすだろう。ではこれから私たちはどのように考えて行動すればいいのか。最終話は、近未来の情報革命に対する提言をして締めくくる。(全3話中第3話)
時間:10分57秒
収録日:2024年6月12日
追加日:2025年1月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●ヒトの本来の進化環境と貨幣による急激な変化


 ここで、(話は)ずいぶん「現代社会の異様さ」に近づいてきたのですが、本当にいろいろな意味で変わってきたわけです。(本来のヒトは)高エネルギーで高栄養な多様な食物を食べている。学習に依存した、高度な技術による食料獲得がある。学習の結果を大量に知識として伝承しなければいけない。子どもが大人に依存する期間が長い。こうしたことは変わっていません。これらに対処するために、いろいろな装置や安い食料をつくり出してきたので、われわれの住んでいる環境は変わっています。しかし、基本がこうであるという点は、なんら変わっていないわけです。

 その結果、高エネルギー、高栄養の多様な食物を食べたい、甘いものはおいしい、というようなことで、どんどんそういうものを安く生産することにしたため、逆にメタボになっている。それから、学習に依存した高度な技術による食料獲得をするというのが、何か分業の仕事をもって就職をして、お金を稼がなければいけないということになった。その分業があまりに高度すぎて、「何か一つの職業を選びなさい」というようになってくるわけです。

 その後のいろいろなことも、そういう基本的な欲求に対して、どうすればうまく適応環境を整えられるか、楽に解決できるかについて頭を絞って考えた結果、少子高齢化をはじめとするいろいろなことが起こっているということです。


●科学技術の発展は社会とヒトを変える


 そして、ここ100年余りでしょうか、本当に大規模な貨幣経済と市場経済になったので、「すべてが金」ということで回さないといけなくなった。これは、一つのトラップのようなものだと思います。

 昔は、ごくわずかな短さをさかのぼる戦前ぐらいの時代でさえ、お金に頼らず、「ちょっとお醤油をきらしてしまった。お隣さん、貸してください」ということもありました。しかし、今やそういうことは全くない。それが、コンビニで小さなお醤油を売っていることにつながるのかもしれません。全ては貨幣経済・市場経済であり、お金を媒介にして何かを動かさないと始まらないということです。

 その上、分業があまりにも進みすぎて、いろいろな職業がありすぎる。15歳~18歳と...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
もっと知りたいイヌのこと(1)イヌの歴史を振り返る
オオカミはいつイヌになったか…犬の起源と家畜化の歴史
長谷川眞理子
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
「同盟の真髄」と日米関係の行方(7)トランプ氏の評価とその実像
こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は
杉山晋輔
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
『貞観政要』を読む(2)著作に登場する人物たち
房玄齢・杜如晦・魏徴・王珪―太宗の四人の優れた側近
田口佳史
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(2)“変わり者”の生かし方と後継者選び
「人材の組み合わせ」こそ「尖った才能」を輝かせる必勝法
水野道訓
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己