学力喪失の危機~言語習得と理解の本質
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
第2話へ進む
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
今井むつみ(一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事/慶應義塾大学名誉教授)
たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロセス。それを認知科学の観点から研究してきた今井むつみ氏。ベストセラー『学力喪失』(岩波新書)の著者でもある今井氏が、生きた知識と言語習得の関係を解説する本講義。まずは言葉が大変抽象的で複雑であることと、それを習得する過程の重要性について確認する。(全5話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:10分36秒
収録日:2025年5月12日
追加日:2025年10月6日
≪全文≫

●子どもの言語習得研究から「生きた知識」について考える


―― 皆さま、こんにちは。今回は今井むつみ先生に『学力喪失 認知科学による回復への道筋』(岩波新書)についてお話を伺ってまいりたいと思います。今井先生、どうぞよろしくお願いいたします。

今井 皆さま、こんにちは。今井むつみでございます。今回はよろしくお願いいたします。

―― よろしくお願いいたします。先生、この本もたいへん話題のご本ということで、私も実は今井先生の最初に読んだ本がこのご本だったのですけれど、最初に私の拙い感想を申し上げます。

 最初のほうは、実際どれだけ今のお子さんが学力で苦しんでおられるかという実例が5章にわたって展開されていて、それ自体とても興味深いですし、「ああ、なるほど、こういうところで引っかかるのか」とか、「あっ、こういう理解のされ方をしてしまうのだなということで、興味深いお話ではあったのですけれど、何より驚きましたのが特に第6章です。

 いちばん最後に「まとめ」というものが付いているのですけれど、ここから後、(つまり)第6章の「まとめ」から第7章、第8章と読んでいくにつれまして、私個人の感想でいいますと、あたかも小さいお子さんが言葉を覚えていって、その抽象化をしていくような過程といいますか、物事を理解するというのはそういうことだったのだなということが手に取るように分かる。この分かる喜びに近いものを覚えまして、たいへん印象深かったのです。先生、今回このご本のご執筆のお心というか、それはどういうものになるでしょうか。

今井 私はもともと認知科学の研究者で、教育学を専門にしていますとはとても言えなくて、もっと基礎的なところで子どもがどのように言語を学んでいるのかということをずっと研究してきたのです。(つまり)心理学の実験をしながら、ずっと子どもの言語習得について研究をしてきました。

 その中でずっと思っていたのは、子どもの言語習得というのは人間の学び、特にその使える知識、私は「生きた知識」とこの本(『学力喪失』)でも言っているのですけれど、生きた知識を習得するとはどういうことなのかという、そのすごく大事な問題にとても大きな示唆を与えてくれると、ずっとそう思いながら子どもの言語習得について研究を...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り
為末大
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(序)『ばけばけ』と『神国日本』
ラフカディオ・ハーンの遺著『神国日本』の深い意義とは?
賴住光子
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博
ムハンマドを知る(1)その役割と人物像
ムハンマドは神の啓示を受けた預言者で共同体の最高指導者
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(7)ポグロムとホロコースト
歴史の中のユダヤ人大量虐殺…ポグロムとホロコーストの違い
鶴見太郎
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(5)海外協力隊と国際交流
永遠の課題は透明性…国際NGOに求められるガバナンス意識
小原雅博
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(3)稲作社会と頑張る日本人
ダメなのは「頑張りが足らない」から…うつを招く稲作的発想
與那覇潤
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
編集部ラジオ2026(11)日本史から読むメンタルヘルス
【10min解説】與那覇潤先生《日本人とメンタルヘルス》
テンミニッツ・アカデミー編集部